海が凪いでいる。
青森港の新中央埠頭の先端に車を停め、音楽をかけながら独り海を眺めた。
日曜日の夕暮れ時。
埠頭が南北を貫くように伸びている。
西の空を仙斎茶色の雲が囲み、緋色の太陽を隠し、雲の隙間からは淡い光線が海を刺している。
何故、いつもこんなふうに惑い彷徨っているのだろう?
何を変えたくて、何を棄ててしまいたいのだろう。自分でも解らなくなってくる。
偶然、友人夫妻と出会った。
ウォーキングをしているのだ。2人、揃いのジャージを身に纏い、埠頭の先から僕の車の脇を通り掛ったのである。
「お前、こんな時間、独りぼっちで何たそがれてんの?」
友人が笑いながら近づいて来た。
「仲がよろしいようで」
僕は皮肉っぽく笑って返した。
友人夫妻は、少しの間、近況を話し、額に汗を薄っすらと浮かべながら、じゃあねと、また早足で去ってゆく。
幸せそうな後姿だ。
2人、ウォーキングをしながら何事かを問い掛け合い、大きな声で笑っている。
夕陽が、青函連絡船「八甲田丸」と凪いだ湾内の水面をクロームオレンジに染め上げている。
ウォーターフロントと、その先の中心市街地のビル群に、微かな明かりが灯り始めた。
この寂しさは何だろう? それから、この虚しさはなんだろう?
心がざわめく。心が軋んでゆく。
俺の人生。俺の日常。俺の生活。
今頃、この空の下では、たくさんの、日曜日の夕方の楽しい一家団欒が繰り広げられているのだろうか?
他人がみな、幸せで愉しそうに見える。
俺だけが不幸で、みんなから孤立しているように思えてしまう。
でも、それは甘えである。
演技である。
ほんとは、そんなこと、ちっとも思っていないくせに!
ほんとは、自分好きで、自分が一番愛しいくせに!
黄昏が迫る。
親子連れが、釣竿を仕舞い、帰り支度を始めている。
中年の男性が独り、竿を海に投げ込んだまま、頬杖をついて暮れゆく海を眺めている。
すべてをチャラにしたいんだ。
はじめから何もかもやり直したいんだ。
何故、それが俺には出来ないんだ?
青森港の新中央埠頭の先端に車を停め、音楽をかけながら独り海を眺めた。
日曜日の夕暮れ時。
埠頭が南北を貫くように伸びている。
西の空を仙斎茶色の雲が囲み、緋色の太陽を隠し、雲の隙間からは淡い光線が海を刺している。
何故、いつもこんなふうに惑い彷徨っているのだろう?
何を変えたくて、何を棄ててしまいたいのだろう。自分でも解らなくなってくる。
偶然、友人夫妻と出会った。
ウォーキングをしているのだ。2人、揃いのジャージを身に纏い、埠頭の先から僕の車の脇を通り掛ったのである。
「お前、こんな時間、独りぼっちで何たそがれてんの?」
友人が笑いながら近づいて来た。
「仲がよろしいようで」
僕は皮肉っぽく笑って返した。
友人夫妻は、少しの間、近況を話し、額に汗を薄っすらと浮かべながら、じゃあねと、また早足で去ってゆく。
幸せそうな後姿だ。
2人、ウォーキングをしながら何事かを問い掛け合い、大きな声で笑っている。
夕陽が、青函連絡船「八甲田丸」と凪いだ湾内の水面をクロームオレンジに染め上げている。
ウォーターフロントと、その先の中心市街地のビル群に、微かな明かりが灯り始めた。
この寂しさは何だろう? それから、この虚しさはなんだろう?
心がざわめく。心が軋んでゆく。
俺の人生。俺の日常。俺の生活。
今頃、この空の下では、たくさんの、日曜日の夕方の楽しい一家団欒が繰り広げられているのだろうか?
他人がみな、幸せで愉しそうに見える。
俺だけが不幸で、みんなから孤立しているように思えてしまう。
でも、それは甘えである。
演技である。
ほんとは、そんなこと、ちっとも思っていないくせに!
ほんとは、自分好きで、自分が一番愛しいくせに!
黄昏が迫る。
親子連れが、釣竿を仕舞い、帰り支度を始めている。
中年の男性が独り、竿を海に投げ込んだまま、頬杖をついて暮れゆく海を眺めている。
すべてをチャラにしたいんだ。
はじめから何もかもやり直したいんだ。
何故、それが俺には出来ないんだ?