淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「twilight of my life」

2009年06月21日 | Weblog
 海が凪いでいる。
 青森港の新中央埠頭の先端に車を停め、音楽をかけながら独り海を眺めた。

 日曜日の夕暮れ時。
 埠頭が南北を貫くように伸びている。
 西の空を仙斎茶色の雲が囲み、緋色の太陽を隠し、雲の隙間からは淡い光線が海を刺している。

 何故、いつもこんなふうに惑い彷徨っているのだろう?
 何を変えたくて、何を棄ててしまいたいのだろう。自分でも解らなくなってくる。

 偶然、友人夫妻と出会った。
 ウォーキングをしているのだ。2人、揃いのジャージを身に纏い、埠頭の先から僕の車の脇を通り掛ったのである。

 「お前、こんな時間、独りぼっちで何たそがれてんの?」
 友人が笑いながら近づいて来た。
 「仲がよろしいようで」
 僕は皮肉っぽく笑って返した。

 友人夫妻は、少しの間、近況を話し、額に汗を薄っすらと浮かべながら、じゃあねと、また早足で去ってゆく。
 幸せそうな後姿だ。
 2人、ウォーキングをしながら何事かを問い掛け合い、大きな声で笑っている。

 夕陽が、青函連絡船「八甲田丸」と凪いだ湾内の水面をクロームオレンジに染め上げている。
 ウォーターフロントと、その先の中心市街地のビル群に、微かな明かりが灯り始めた。

 この寂しさは何だろう? それから、この虚しさはなんだろう?
 心がざわめく。心が軋んでゆく。

 俺の人生。俺の日常。俺の生活。
 今頃、この空の下では、たくさんの、日曜日の夕方の楽しい一家団欒が繰り広げられているのだろうか?
 他人がみな、幸せで愉しそうに見える。
 俺だけが不幸で、みんなから孤立しているように思えてしまう。

 でも、それは甘えである。
 演技である。
 ほんとは、そんなこと、ちっとも思っていないくせに!
 ほんとは、自分好きで、自分が一番愛しいくせに!

 黄昏が迫る。
 親子連れが、釣竿を仕舞い、帰り支度を始めている。
 中年の男性が独り、竿を海に投げ込んだまま、頬杖をついて暮れゆく海を眺めている。

 すべてをチャラにしたいんだ。
 はじめから何もかもやり直したいんだ。
 何故、それが俺には出来ないんだ?


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 伊坂幸太郎の同名小説を化し... | トップ | 「スーパーマン」 »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事