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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「ICE」のギタリスト宮内和之が亡くなった。遺作アルバム「SPEAK LOW」がまた素晴らしい。

2007年12月27日 | Weblog
 男女2人組によるデュオ「ICE」は、お気に入りの音楽アーティストたちの中の一組である。
 これまでに発売されたアルバムはすべて持っている。

 都会的でソフィスティケートされていて、しかも黒人音楽の匂いが漂う。でもそれは、濃厚でこってりとしたテイストというより、ポップでメロディアス、どこか歌謡曲っぽい流れさえ見受けられる。
 つまり端的に言えば、とても聴きやすく、素直に耳に入って来るということだ。売れない理由がない。
 ところが「ICE」は、アルバムを頻繁に出す割にはセールスが伸びない。勿論、音楽評論家の受けはよく、コアな熱狂的ファンもいるようだ(雑誌の音楽評論やネットでの書き込みを読めば一目瞭然である)。

 その「ICE」についてのニュースは、最近余り耳にしなくなった。僕は、もう事実上の活動停止をしてしまったか、あるいは人知れず解散でもしたのかとさえ思っていた。
 絶えずアンテナを張りながら、「ICE」に関するニュースに聞き耳をたてていたのだけれど、それほどメジャーな音楽ユニットとでもないからなのか、音楽雑誌を賑わすこともないようだった。

 先般、「ICE」によるベスト版「MUSIC FOR THE BEAUTIFUL DAYS」(1993/2007)と、オリジナル・ニューアルバム「SPEAK LOW」が発売されたというニュースを聞きつけ、早速アマゾンで購入した。
 やっと「ICE」が再始動したのかと思った矢先、突然の訃報が飛び込んできたのである。
 
 「ICE」の曲のほぼすべてを生み出し、アレンジまで手掛けた、ギタリストの宮内和之氏が亡くなったというニュースである。
 びっくりした。
 耳下腺がんで死去、まだ43歳だという。

 「ICE」は、ヴォーカルの国岡真由美とギターの宮内和之との2人だけのユニットだけれど、実質的には宮内和之の音楽世界をハスキーなヴォーカリスト国岡真由美が表現するという形態を取っていて、彼個人のワンマ・ユニットだと言っていい。

 以前もここで書いたことがあるけれど、僕が初めて「ICE」の音楽に触れたのは、ケーブルテレビの「スペース・シャワー・TV」におけるビデオ・クリップだった。
 「HEART BEAT VOICE」である。
 
 久しぶりの衝撃波だった。
 都会の夜の、少しエロティックなイメージ。宮内和之のギターのカッティングがシャープで、しかも研ぎ澄まされたナイフの如き尖がり具合。
 国岡真由美のハスキーでセクシーな声が、妙に気だるい雰囲気を醸し出している。大人の色っぽい女性という感じだ。

 その後、「ICE」は続け様に素晴らしい楽曲を送り出すことになる。
 「SLOW LOVE」も、またいい曲だ。
 アップテンポなのにメロディ自体が聴きやすいから、すんなり溶け込める。それでいて、都会的で洗練している。

 僕は、狂ったように「ICE」を追いかけた。
 矢継ぎ早に、彼らもアルバムを次々と世に出していった。それでも大ブレイクするまでには中々いかない。これはしかし、今でも不可解だと思う。理解できない。
 まあ確かに、いいアルバム、傑作アルバムを発表して評論家の受けも頗(すこぶ)るいいからといって、それがそのままアーティストの人気に繋がるとは限らない。意外と不運に終わった人たちだってたくさんいる。
 
 でも、こうしてまた、一人の才能豊かな人間がこの世界から旅立ってしまった。
 やがて「ICE」の素晴らしい楽曲も、世間からは忘れ去られてゆくのだろうか。まことに残念なことだ。
 それにしても、残った国岡真由美はどうするのだろう。
独り、歌手としてライブハウスなんかで歌ってゆくのだろうか。才能溢れるコンポーザーを亡くし、今は茫然自失しているんだろうなあ。何ともやるせない。
 
 人はいつか死ぬ。必ず死ぬ。誰が何と言っても死ぬ。死なない人など一人もいない。
 それでも人は、その「死」という部分を忘れ、頭から振り払おうと日々を生きている・・・。

 宮内和之さん。今はただ安らかに眠ってください。
 もうあなたの新しい楽曲は、耳にすることは不可能だけど・・・。
 合掌。


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