それにしても、男というのは、本当にどうしようもない生き物である。
この渡辺淳一の「告白的恋愛論」を読めば、その意味がよく解る。
歴史上の人物であるカサノヴァは、その女性遍歴の多さでも知られているけれど、99人の愛すべき女性が自分の周りを囲んでいてもなお、目の前を横切った100人目の女性に対して、また一瞬で心を奪われて、その女性を口説いたのだとか。
男には、程度の差こそあれ、そういうところが誰にでもある。
勿論、そういう部分が少し隠れているという意味であって、実際にそれを実行するかどうかはまた別の次元の問題だけれど。
それにしても、作家である渡辺淳一が自らの体験を赤裸々に綴ったエッセイ、「告白的恋愛論」は凄い。
読み出したら、途中で止められなくなって、結局、一気に読んでしまった。そんなにボリュームのある本ではないので、数時間もあれば読み終えてはしまえるけれど・・・。
帯に、「恋して、愛して、学んだ!」とある。
「阿寒に果つ」(僕はこの本で初めて渡辺淳一と出会い、映画も観た)、それから「ひとひらの雪」、「失楽園」、「愛の流刑地」など、彼の書いた小説はたくさんある。
そして、映画化された作品も数多い。
僕は、小説としては「阿寒に果つ」と「失楽園」しか読んだことがない。あとはすべて、映画化された作品を観ているだけだ。
ところが、この映画化された諸作品、中々面白い作品が多い。
そして今回のエッセイ「告白的女性論」は、著者の体験を通して語られる、かなり際どい恋愛論となっている。
つまり、渡辺淳一が過去に愛した10人の女性たちとの体験を、回想録という形で綴っているのである。
「ふりまわされた恋」、「初めて知った愛の妖しさ」、「自殺未遂の女」、「性の自信を取り戻す」、それから「強すぎる女への戸惑い」・・・。
特に唖然としたのは、裕子という女性との恋愛を綴った「裕子の章 逃げられて追いかけて」だろう。
彼が直木賞を獲る前後、つまり、札幌の医大を辞めて、裕子という女性と2人、東京に出て来て作家を目指して同棲するというところから始まる話なのだが、いやはやなんとも、凄いというか、壮絶過ぎるというか・・・。
裕子という女性、上京してすぐに銀座のホステスとして働くことになる。
当然、渡辺淳一自身は札幌の医大を辞め、小説一本で身を立てようとするのだが、蓄えも少なく、札幌には妻も残して来ているわけで、生活のために彼女は夜の商売を始めることになったのだ。
ところが、ヒモのような生活に陥り、よくあるパターンで彼女には新しい男が出来てしまう。
そこからが修羅場だ。
嫉妬と妄想と執着から、渡辺淳一は引っ越した彼女のマンションに押し入り、器物破損などの罪で警察に連行されてしまうのだ。
それだけではない。彼女と新しい恋人、そして渡辺淳一との三角関係の凄まじい修羅場の数々が延々と続いてゆく・・・。
それは残る9人との恋愛にも言える事だけれど、とにかくすべての恋愛がドロドロしていて、濃厚な珈琲を飲まされている感覚に終始する。濃い。濃過ぎる。
そこまで書くか! 渡辺淳一!
まずは読んでいただくしかない。でないと、このドロドロ感はよく解らないだろう。
まあ・・・こういう激しい大恋愛ばっかりしたことで、「失楽園」や「愛の流刑地」が書けたんだろうな。うん。
この渡辺淳一の「告白的恋愛論」を読めば、その意味がよく解る。
歴史上の人物であるカサノヴァは、その女性遍歴の多さでも知られているけれど、99人の愛すべき女性が自分の周りを囲んでいてもなお、目の前を横切った100人目の女性に対して、また一瞬で心を奪われて、その女性を口説いたのだとか。
男には、程度の差こそあれ、そういうところが誰にでもある。
勿論、そういう部分が少し隠れているという意味であって、実際にそれを実行するかどうかはまた別の次元の問題だけれど。
それにしても、作家である渡辺淳一が自らの体験を赤裸々に綴ったエッセイ、「告白的恋愛論」は凄い。
読み出したら、途中で止められなくなって、結局、一気に読んでしまった。そんなにボリュームのある本ではないので、数時間もあれば読み終えてはしまえるけれど・・・。
帯に、「恋して、愛して、学んだ!」とある。
「阿寒に果つ」(僕はこの本で初めて渡辺淳一と出会い、映画も観た)、それから「ひとひらの雪」、「失楽園」、「愛の流刑地」など、彼の書いた小説はたくさんある。
そして、映画化された作品も数多い。
僕は、小説としては「阿寒に果つ」と「失楽園」しか読んだことがない。あとはすべて、映画化された作品を観ているだけだ。
ところが、この映画化された諸作品、中々面白い作品が多い。
そして今回のエッセイ「告白的女性論」は、著者の体験を通して語られる、かなり際どい恋愛論となっている。
つまり、渡辺淳一が過去に愛した10人の女性たちとの体験を、回想録という形で綴っているのである。
「ふりまわされた恋」、「初めて知った愛の妖しさ」、「自殺未遂の女」、「性の自信を取り戻す」、それから「強すぎる女への戸惑い」・・・。
特に唖然としたのは、裕子という女性との恋愛を綴った「裕子の章 逃げられて追いかけて」だろう。
彼が直木賞を獲る前後、つまり、札幌の医大を辞めて、裕子という女性と2人、東京に出て来て作家を目指して同棲するというところから始まる話なのだが、いやはやなんとも、凄いというか、壮絶過ぎるというか・・・。
裕子という女性、上京してすぐに銀座のホステスとして働くことになる。
当然、渡辺淳一自身は札幌の医大を辞め、小説一本で身を立てようとするのだが、蓄えも少なく、札幌には妻も残して来ているわけで、生活のために彼女は夜の商売を始めることになったのだ。
ところが、ヒモのような生活に陥り、よくあるパターンで彼女には新しい男が出来てしまう。
そこからが修羅場だ。
嫉妬と妄想と執着から、渡辺淳一は引っ越した彼女のマンションに押し入り、器物破損などの罪で警察に連行されてしまうのだ。
それだけではない。彼女と新しい恋人、そして渡辺淳一との三角関係の凄まじい修羅場の数々が延々と続いてゆく・・・。
それは残る9人との恋愛にも言える事だけれど、とにかくすべての恋愛がドロドロしていて、濃厚な珈琲を飲まされている感覚に終始する。濃い。濃過ぎる。
そこまで書くか! 渡辺淳一!
まずは読んでいただくしかない。でないと、このドロドロ感はよく解らないだろう。
まあ・・・こういう激しい大恋愛ばっかりしたことで、「失楽園」や「愛の流刑地」が書けたんだろうな。うん。