うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

国境のエミーリャ

2020年03月14日 | アニメ・コミック・ゲーム

先月の発売ですので、もう一月たってしまいましたが・。単行本出るの楽しみにしていて、ようやく読みました(買ったのはKindle版ですが)。

出版社の紹介文はこんな感じ。
引用
物語の舞台は、太平洋戦争末期に本土決戦を経て「1946年1月」に敗戦を迎えた日本。ソ連を含む各国軍によって分割占領された日本は、やがて「日本民主共和国」と「日本国」として独立。
それぞれが東西陣営に属する国家となり、列島には鉄のカーテンが降ろされることとなる。
両国の境界には強固な壁が建設され、国境の街となった東京は東西に分断されてしまう。
1962年の東トウキョウ。
押上で暮らす19歳の杉浦エミーリャは十月革命駅(旧上野駅)の人民食堂で働く女性。その彼女が持つもうひとつの顔、それは東から西へ人々を逃がす脱出請負人としての顔。若くして危険な橋を渡る彼女を待つ未来は果たして!?
“可能性としての東京”を舞台に、壁の街で自分の道を模索する人々の物語、ここに開幕。
引用終わり

実は矢作俊彦の「あ・じゃ・ぱん!」も並行して読んでいるのですが(小説)、あちらは晦渋の極みで、正直読み進めるのに苦戦しています。どちらも日本が太平洋戦争後分割統治されたという設定です。ただ、「あ・じゃ・ぱん!」の時代設定は現代というか、昭和天皇崩御直後、ベルリンの壁崩壊前後(書きながら思ったのだが、この二つを同時期の出来事として捉えたことなかったな今まで・)、社会主義国日本の体制にはほころびが見え始めている。

「国境のエミーリャ」の設定年代は1962年で、現実世界では前年夏にベルリンの壁の建設が始まり、この年10月にはキューバにアメリカ全土を射程とする核ミサイル基地が建設されていることが明らかとなる。冷戦のもっともはげしかったころです。

その時代の緊張感や悲劇性を、舞台を少し置き換えて漫画に表現した、ということになる。国家の分断は歴史上珍しくはない。今でも北朝鮮と韓国は、我々には非常に身近な地政学上の問題として、しばしば話題に上るし、ほかにも先に掲げた東西ドイツ、ベトナム、などがすぐ浮かぶ。「エミーリャ」は一つの都市が分断されている点、ベルリンの影が濃く感じられる。

作者と僕はほぼ同世代だと思うが、物心ついたころ、まだ東西対立の構図が強く残っていたことの記憶が、この作品に表れているのかもしれない。そして、やっぱり過剰といっていい、「鉄」へのこだわり。。この二つの点で、僕と作者は視点がかんぜんに一致してしまっている。。たぶん作者も、古い鉄道の写真を見たりするのが好きで、その背景となる社会にも強く惹かれるものを感じているんだと思う。。

とにかくこの池田氏、あの誰にも似ていない画風が妙に戦前~戦後間もないころの日本の風景を見事に表現していて、見たことがないのに懐かしい感じがしてしまいます。とくに人物描写は妙な質感がありますね。。
映画の(漫画ではない)「三丁目・・」とはまた違う世界観で、このほうが。。ま、いずれにしてもイマジネーションの世界いですけど。。

余談ですが今見なおているとたぶん、エミーリャちゃんには意識してお色気を入れた痕跡がある気がします。。編集さんの意向?エミーリャはロシア人とのハーフなんですね。お兄さんとは違うお父さんの。

単行本1冊だと、まだ世界観がぜんぜん見足りないので、続刊が楽しみです。。


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