イーロン・マスク氏率いるSNS "X"と各国政府との対立が話題となっている。
ブラジルでは最高裁判所が国内サービス停止を命じた。
同様の問題はオーストラリア、インド、パキスタン、EU、イギリスなどでも起きている。イギリスではSNSの偽情報がきっかけとなって暴動が発生した話は、以前に書いた。オーストラリアでは当局の禁止措置を司法が最終的には却下したが、アルバジーニ首相は「法律よりも自分が上だと思っている傲慢な億万長者を取り締まる」 と怒りを隠さない。
マスク氏は表現の自由を盾に各国の求める規制に反発している。他方、中国のネット監視に言及することは少ない。同国がEVテスラの主要マーケットだからではないか、という憶測も出ている。少なくとも同氏がここにきて政治的な関与を深めてきていることは間違いない。
もううろ覚えだけど、マイケル・サンデル氏は’自分の属する社会’という概念が、以前は自分たちの村や国だったものが、例えば世界的な企業の社員だったりとか、あるいはGAFAのユーザーだったりとかすることによりより複合的になり、帰属意識を国家の単位で測れなくなってきている、という意味の事を書いていた。SNSもそういう面があり、国の規制を嫌う傾向がある。
Metaはかつてステーブルコイン(各国通貨との裏付けを持たせたデジタル通貨)を開発していたが、最終的に断念した。マネロンや裏取引への対応ができないとの理由で(と、おそらくは各国中央銀行の圧力)とん挫したが、こんにち色々な面で国の権力が危機にさらされていることは確かだ。
マスク氏は極端な面があるが、ひじょうに力(と金)を持っていることは間違いない。彼が引き起こす騒ぎには、今日の社会のもろさや課題が透けて見える気がする。
反対デモをやるなんてのは犯罪予告扱いになるのかな。
規制を厳しくすれば反対する人も出て、世の中が窮屈になるし、緩めれば変なのがでてくるし、困ったものです。。