テレビ実況では、100メートル競走などは百分の一秒まで経過時間がが表示されます。
表示されているのを見ても、最後の百分の一秒のところは全部読み取ることはできません。
十分の一秒間の間に十回と数字がめまぐるしく変わるために、途中の二つか三つの数字が読み取れるだけで、あとは読み取れないのです。
それどころか右から二番目の十分の一秒のところでも、慣れないとすべての数字が読み取れるわけではありません。
十分の一秒のところは、一秒間に十回数字が変わるので、目では読み取れているのですが、0123..と意識的に確認しようとすると、途中でついていけなくなるところが出てきて、見落としが発生する場合もあります。
十分の一秒のところは見落とすことがあっても、特定の数字(たとえば4)を見落とすまいとして見れば見落とすことはありません。
ところが百分の一秒のところでは、見落とすまいとして注意をしていても見落とすことがあります。
とくに、0123..と初めからスタートすると、前半の数字は読み取りにくく、後半の数字のほうが読み取りやすくなっています。
数字が速く変化する場合は、あとから出てくる数字が前に出てきた数字の視覚記憶を妨害するためです。
同じ場所に連続的に表示する場合、文字を表示した後すぐその次の数字を表示したのでは、表示時間が短い場合は前後の文字が重なって見えてしまいます。
本を読む場合に視線を動かしたとき、視線が次の場所に到着するまで40分の1秒程度かかりますが、その間はなにも見えません。
そこで文字を一つの文字を一定時間表示して、その文字を消してから次の文字を表示するまで40分の1秒程度間隔をあけてみます。
そうすると文字は重ならないで見えますが、表示時間が短ければやはり見落とす文字が出てきます。
表示時間を40分の1秒にすると、表示間隔とあわせて20分の1秒となりますが、この条件では10文字が約二分の1秒で表示されます。
この場合、漢字はいくつか読み取れますが、連続して二つの漢字を読み取ることは困難です。
図の例では漢字は二字熟語が五個つながっているのですが、最初から順に連続して一つづつ表示しても、熟語を読み取ることができないのです。
これは漢字でなくてもひらがなの場合でも、連続して読み取ることが難しく、さらに数字の場合でも連続数字を読み取ることは困難です。
このようなことから、目を速く動かしても、見ることが速くできるというだけで、見ても読み取れない部分があるということがわかります。