図の上の例で、一行の文字数は32文字ですが、これはA5版の本が36~38文字であるのと比べるとやや少なくなっています。
それでも一目で一行を読み取ることはできませんから、途中で何度か視線をとめて注視する必要が出てきます。
これに対して、下の左の例では一行が16文字と半分になっていますが、この場合は何とか一目で読み取ることができるのではないでしょうか。
瞬間的に認識できる文字数は4つ程度ともいわれていますが、これは独立の文字単位でのことで、単語あるいは文節単位ではありません。
文字を読みなれてくれば一文字一文字読むということはなく、単語または文節単位で文字をとらえています。
たとえばこの文章の例で言えば「オキアミは 南極海周辺で 餌を 取る 大型の鯨や アザラシ、 魚など 多くの、、、」というふうに文節単位でとらえる事ができます。
また単語単位であれば「オキアミ は 南極海周辺 で 餌 を とる 大型 の、、、」と捉えることができます。
一目でとらえられるのが、 中心視野で捕らえてはっきり読み取れる文字数は7字程度とされているのですが、これは文字単位でとらえていて、語句単位ではありません。
4つの文字までということでなく、4つの文節までということになれば、「オキアミは南極海周辺で餌を取る」までを一目で読み取ることができるのではないかと予想できます。
たまたまこの場合は一行16文字を一目で読み取るということになるのですが、これは視幅が16文字までも一目で見ることができるほど広い場合です。
つまり、視幅がある程度以上であれば、4文節までは瞬間的に読み取ることができると考えられます。
もし単語単位で4つまでということなら「オキアミは南極海周辺で」となり、この場合はたまたま、11文字となって右の図の一行目を読み取るということになりますが、この程度であれば少し意識すれば一目で読み取ることができます。
新聞記事の一行の文字数は、今ではどこも11文字となっていますが、かつては15文字でした。
もともとは紙の節約のため文字が小さかったのですが、文字数が少なくなったのは文字を大きくしたためです。
これは高齢化に伴って、文字を大きくしないと、読みにくい読者が増えたためですが結果的には、より一目で読み取りやすくなったといえます。
雑誌や映画の字幕は一行15~20文字程度で、これも映画の字幕はすぐに消えるので一目で読み取れるようになっています。
いずれも4文節程度は一目で読み取れるようになっていると、文字の読み取りは楽にできるようになっているのです。