左上の図で a,b は同じ濃さの灰色ですが、 b のほうが濃く感じられます。
T.エイデルソンによって考案された「折れ曲がったモンドリアン」と呼ばれる図で、真ん中部分が折れ曲がって、立体的に見えます。
b のほうが濃く見える理由として「bの面に横から光が当たっているとき、a の面は影になるので b と同じ濃さなら b より濃く見えるはずなので、実際はb より明るいのだ」と脳が解釈してしまうからだとされています。
そのように説明されると、なんとなくソウカナと思いますが、特にそのように面倒な考えをしていないのに b のほうが濃く見えるのですから、なんとなく釈然としないでしょう。
下の図は 上の図の真ん中部分を切り取ったもので、やはり立体感があり、やはり b のほうが濃く見えます。
その隣は a を挟んだ部分を濃いグリーンに、b を挟んだ部分をやや薄いグリーンに、真ん中部分を明るいグリーンに変更してあります。
そうすると明るいグリーンの上下左右は同じ濃さの灰色であることが分かります。
つまり a と b は同じ濃さの灰色だったことが分かります。
左の図では a と b とが違った濃さに見えたのに、右の図では同じ濃さに見えるというのはなぜでしょうか。
それは右の図では、真ん中の明るい四辺形を囲む四つの灰色の図形は、同じグループに属するものに見えるので、同じ濃さのものは同じに見えるということです。
左の図の場合は縦に折れ目があって曲がっているように見えるので、 a の含まれる面と b の含まれる面は別に見えます。
a の含まれる面は一番暗く見える面で、その中でa は一番明るいので、対比効果で実際より明るく見えます。
b の含まれる面は一番明るい面ですがその中で b は一番暗いので、対比効果で実際より暗く見えます。
その結果 b のほうが同じ明るさなのに、かなり暗く見えるのです。
ところが右の図形を見て四つグレーの図形を同じグループとしてみてから、ふと左の図を見るとなんと a と b は同じ濃さに見えてしまいます。
いちど四つのグレーの図形を同じグループと見てしまうと、今度は自然と a と b は同じ濃さの灰色に見えます。
図形がどういう構造のものと見るかによって見え方がかわってしまうということで、どのような構造と見るかは人によって違うので、どれが正しいということはないのでしょうが、感じ方は変わってしまうのです。
右の図は左の図の折れ曲がっていたのを伸ばしたものです。
この場合は折れ目がないので、自然に縦に図形がグループ化されるというわけではありません。
そこで b のほうが濃く感じられるとは限りません。
横にグループ化してみれば同じ濃さに見えるということもあります。
真ん中の部分を切り出してみると、左のように塗り分けしなくても、真ん中の四辺形の上下左右の四つの四辺形が同じグループに見えやすくなっています。
そこで a ,b が同じ濃さだということが見て取れます。、