60歳からの視覚能力

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重なりを見る能力

2006-07-02 23:06:07 | 視角と判断

 図に示された灰色の部分は同じ明るさなのですが。、b の場合が最も明るく見えます。
 この図形で a は不透明の灰色で、白い地の上におかれ、黒い横板の下に描かれています。
 b と c は白の半透明版と、黒の半透明版で、黒い横板の上におかれています。
 b は白い横板の下、c は黒い横板の下にあるようにも見えるのですが、実際には半透明の白いいたと半透明の黒い板を最上層にして作図しています。
 どちらの見方をするにせよ、灰色の部分をばらばらの独立の長方形と見ないで、s,b,c の三枚の短冊形の図形の一部と見ています。

 人間の目の網膜は曲面ではありますが、ほぼ平面に近く、眼に映る像は平面的です。
 両眼視差によって脳は三次元的なイメージを作っているのですが、一度網膜に映された平面的な像から三次元的なイメージを描いているのです。
 そこで画像のようにもともと平面的なものでも、三次元的なイメージとして解釈することができるということになります。
  そうなると、平面に並んでいる画像を重なり合った画像と解釈することが可能になります。
 鳩などは人間なら重なり合った二つの図形と解釈するものを、見えない部分はないものとして、見えた部分だけの形しか見ないそうです。
 同じ平面に描かれているものは、眼からの距離は同じですから平面的に見えるのが当たり前です。
 平面に描かれているものが重なり合っているとか、遠近感があるとか見るのは、虚のものを見ていることになりますから、鳩などはリアリストなのです。

 同じ濃さの灰色の図形が対比効果により、白い背景の場合のほうが黒い背景の場合よりやや暗く見えるのですが、上の図の場合はその差がはるかに大きくなっています。
 対比効果という場合は地の上に図という二つの要素の重なりだけですが、上の図の場合は図の上にさらに図と三重の重なりになっているので、対比効果が強調される結果となっているのです。
 a は白い地の上に灰色の短冊、その上に黒い横板と三重の要素の重なりと見えますし、b の場合は白の地の上に黒い横板、その上に白い半透明の短冊、c は黒い半透明の短冊というふうにいずれも三重の重なりにみえるので、対比高価が強調されるのです。

 なお、重なりのイメージは両眼視をしているときのほうが容易で、片目を閉じて見た場合はうまくいきにくいということがあります。 
 そうすると対比効果も薄れるということになりますから、実際片目で見ると灰色の部分の明度差が少なくなったように見えます。