60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

変形ストループテスト

2006-07-25 22:24:45 | 言葉と文字

  ストループテストというのは文字を見て、文字の色を答えるという課題で、文字の色と書かれた文字とが違うとスムーズに答えられなかったり、つい文字を読んでしまったりしてしまいます。
 上の2行でやってみると、スピーディにはできず、ちょっと引っかかるところがあるのではないでしょうか。
 これは文字を見るとすぐに読めてしまうので、無意識のうちに読んでしまっているのと、答えを言葉で要求されているためです。
 色を判断して口に出す前に文字を一目で見て読み取ってしまっているからで、幼児のようにゆっくりしか文字が読めなければ失敗しません。
 もし赤、青、黄色、緑のボタンがあって「文字と同じ色のボタンを押せ」というのであれば迷うことも間違えることもあまりないでしょう。
 
 次の4行は文字の表示を少し変え、最初の一文字だけを目立つようにしています。
 こうすると注意を最初に文字の色に向けやすいので、文字全体を見て文字を読む前に、色の名前を口に出しやすくなります。
 最初の一文字が目立つため、最初の文字と他の文字が分けられ、文字列全体が自動的に読まれるのを防ぐことができるためです。
 成人して文字を読む経験が積まれてきていると、3文字程度の文字列であれば、意識しなくても瞬間的に読み取ってしまうので、最初の一文字に注意を向けさせるのです。
 このようにしてみた経験をもとに考えれば、文字を変えなくても最初の一文字にだけ注目すればうまくいくだろうと思うでしょう。

 じじつ、最初の二行のような場合でも、文字を見るとき最初の一文字だけに注目して、色の判断をして色の名前を言うようにすればスムーズに答えられるようになります。
 文字列を見てその文字列の色を答えるように要求されたとき、どこに注意を向けたらよいか分からないので判断が遅れるという側面があるからです。
 そこで最初の一文字に注意を向けることにすれば判断しやすく、文字列を読んでしまうことを防ぐことが可能になるのです。

 このテストは、言葉で色を答えるという、言葉の作業をするとき文字を見ると引きづられるということを示したものですが、なぜか脳の活性化の訓練ということに日本では使われたりしています。
 文字を読むことが自動化されるまで身についていなければ、ストループ効果というのは起きないので、引っかからないで速く答えられる練習をしたりすることが脳にどのような効果があるかは不明です。
 しいて言えば文字の色という部分にのみ集中するという事で、集中力の訓練にはなるかもしれません。
 しかし集中力の訓練ならもっと実用的な課題がいくらでもありますから、文字を自動的に読まない訓練などやってどうするのかと疑問に思います。