60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

そばにある線の影響

2006-06-27 23:19:34 | 視角と判断

 図の a の上のほうの線の垂直位置は、右の三本線の一番上の線と二番目の線との間にあるのですが、二番目の線と同じ位置にあるように見えます。
 ところが b のように二本線の下のほうの線をとると、先ほどより上に上がって、一番上の線に近づきいて見えます。
 さらに今度は c のように上に線を加えると、今度は右の一番上の線と同じ位置にあるように見えます。

 下のほうに線があればその影響を受けて位置が下に感じられ、上に線があればその影響を受けて位置が上に感じられるのです。
 ちょうど引力が生じて引っ張られるかのようです。
 線が二本あればお互いに干渉しあって、上の線は実際より下にあるように感じられ、下の線は実際より上に感じられます。
 もっと分かりやすいかたちは d と e の例で、d の上の線を動かして下に持ってきたのが e です。
 d では下の線は右の線より下の位置にあるのですが、 e のように上の線を移動して下に持ってくると右の線より下にあるのがハッキリします。

 すぐそばにある線の影響を受けるので、同化作用のように見えます。
 そばに線があれば注意がそちらに向けられ、視線が動くので元の線はそばにある線のほうに近づいて見えるのです。
 直線のようにまぎれにくいものでも錯視が生ずるのですから、曲線になればもっと効果が大きくなります。
 文字を線で囲むと文字が大きく見えたり、同心円の内側のほうが大きく見えたり、外側の円が小さく見えたりするのも同じ種類の現象です。
 
 そばにある線と線は普通に見るとどうしても接近して見えるのですが、瞳孔を開いてジッと注視すれば間隔は少し開いて見えます。
 そのため細かい字を見ようとするときは、つい眼を凝らして見つめてしまうのでたちまち眼が疲れてしまいます。
 字が小さく感じられ、読みにくくなってきたら無理をせず、とりあえず老眼鏡を使用した方がよいのはそのためです。