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表情の本音とたてまえ

2006-06-10 23:09:05 | 視角と判断

 顔の表情は口の形によっても大きく変わります。
 図の左側は顔の表情を線画で表したもので、喜び、驚き、恐れ、悲しみ、怒り、嫌悪を表したものだそうです。
 たいていの人はどの絵がどの表情を表しているか分かると思いますが、右の図のように口を取って眉と眼だけにしてしまうと全部正解するのが難しくなるのではないでしょうか。
 逆に、右下の図のように口だけを示した場合も難しくはあるのですが、どれがどの表情に当てはまるのか大体分かるのではないでしょうか。
 
 人間が感情を表出するとき、言葉を発する場合が多いでしょうから、そのときの口の動きが記憶されていて、口の形を見れば表情が推測できるとも考えられます。
 同じ感情を表現するのでも、言語によって口の動かし方あるいは形が変わってくるト考えれば表情は言語によって規定されるから、言語を含む文化によって現れ方が変わると推測することができます。
 表情のあらわし方はは文化によって異なると考えるのを表情の文化固有説というのだそうですが、現在はどちらかというと廃れてきている説だといわれています。

 表情は文化とか言語とかに関係なく、人類共通であるというのが表情の普遍説と言うのですが、口をはずした眼と眉毛の部分だけの画だけでも大体分かるのですから、普遍的な部分があると考えられます。
 まあこれらは、どちらか一方でなければならないというわけではありませんから、両方の要素があると考えてもよいと思います。

 「現実の生活の場面では、顔は笑っているが眼は笑っていない」という例があるように、表情は一面的でない場合もあります。
 口を含めた表情筋は随意筋ですから、むしろ実態とはなれて表面をとりつくろうために利用される可能性を持っています。
 日本人の場合は感情を表情に表して他者に理解させる、表出能力に欠けるといわれるのですが、表面的な表現はお互い見透かされるので、これを軽視するからではないかとも考えられます。
 そこで目の表情などのように隠しきれない部分に注意を集中、「眼を見れば本当の気持ちが分かる」と思い込んでいるためなのかもしれません。つまり口などの表情筋は「たてまえ」を表現し、眼が「ほんね」をあらわすと考え、本音を偏重する傾向があるのでしょう。。