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分類のパターン

2006-06-16 23:05:08 | 言葉とイメージ

  a、b、cの三つのうち、二つが同じグループに属するとすれば、どれとどれかという問題です。
 R.ニスベット「木を見る西洋人森を見る東洋人」によると、アメリカ人はaとbを同じグループだと答え、中国人はbとcが同じグループだと答えるそうです。
 アメリカ人をふくむ西洋人はaとcは動物であるというように、分類学上の基準で分けて考えるのに対し、中国人は牛は草を食べるので、牛と草が関係あるので同じグループだと考えるのだそうです。
 つまり、西洋人は種類によって「分ける」のに対し、東洋人は関係によって「くっつける」傾向があるというのです。

 ところで同じ東洋人である日本人の場合はどうでしょうか。
 今の日本人であれば、アメリカ人と同じように、鶏と牛が同じグループと答えるのではないでしょうか。
 日本では幼稚園で同じような問題で生徒の知力をテストすることがありますが、その場合の正解はもちろん牛と鶏になっています。
 つまり幼児教育の段階で、物の性質などを基準に分類することを教えているので、中国人のように関係によってまとめるということは正解とはされていません。
 本来なら、モノは特定の基準で分類するだけでなく、二つを結びつけて関係の仕方を考えるといったことも教えるべきなのです。
 日本は長い間西欧風の考え方にあこがれて、西洋風の考え方だけを正しいとして教えてきたので、もとは関係思考ができたのに、分類思考になっているのかもしれません。
 
 二番目の例はJ.ルーシーの調査で、英語のように助数詞を使わない言語の人は、「形」で分類してAとBを同じグループに、ユカテック語のようにモノを数えるとき枚とか本といった助数詞を使う言語の人は「性質」で分類してBとCを同じグループにするとしています。
 ここでルーシーは形による分類と性質による分類の違いという解釈をしているのですが、ニスベットのように機能による分類と、関係付けによるグループ化という風にも解釈できます。
 紙切れと布切れは形状が似ているに過ぎないと考えることもできますが、形状が似ているということは物を包むという機能の点で共通点があるとも考えられます。
 布切れとシャツは材質が同じというだけでなく、布切れからシャツを作るというような関係があるとも考えられます。
 「同じものが形を変えれば機能が異なる」と考えるか「違うものでも同じ形にして機能を同じにすることができる」と考えるかの違いです。

 日本人は助数詞を使うのですが、二番目の問題にはどう答えるかといえば、おそらくBとCが正解とするのではないでしょうか。
 布でできているという材質で分類すれば、布切れからシャツを作るという関係付けによらないでグルーピングしていることになるので、西洋風の考え方にしたがっているのですが、機能で分類するほうを取らないという点で、西洋風の考え方とずれが出てくるのだと思います。
 教育によって分類思考に導いても、形式主義に徹底することができず、素材が同じというような分類に向かってしまうのです。
 しかしそれが間違いであるとか、劣っているとかいうことではないのですから、教育の段階で一方しか正しくないという指導をすべきではないでしょう。