屋外木材講座10 根継ぎ

木材は腐ります。昔の人は、腐る木材を腐った部分だけ、切り取って取り替えていました。ある意味高度な技術です。
仕事柄、木材の補修工事の相談を受けます。
写真の家は、建物の一番隅の束で、束自体根元から腐っていました。
束が腐ると建物が傾きます。傾くと当然建具の動きが悪くなります。この建物の建具は、変形して取り付いていました。
人間も同じで、ある箇所の骨が、悪かったとします。当然、その骨をかばうように外の骨が動き出すので、今まで悪くなかったところが、悪くなるのです。

束が腐り建物が傾いて、建具が、動かなくなったと言うことで家主は建具屋さんを呼びます。
建具屋さんは建具の具合だけしか、直せないないので、変形した建具で調整を始めます。私が、この建物の調査をしたときには、建具が、菱形をしていました。

私が、まずはじめに、行ったのは、建物の整骨でした。「矯正」ですね。建物を矯正すると腐った部分は、なくなっているわけですから、当然浮いてきます。浮いた分だけ、腐ってなくなった部分だけ、新しい部材を入れてあげればよいのです。
そこで「根継ぎ」をしていきます。「矯正」の次は、「手術」です。
腐った束を切り取り、新しい束の材を入れます。腐ったところは、建物の隅で風雨に晒されていました。木材としての環境も悪いところです。より耐久性を求めて酸化亜鉛含浸処理(モックル処理)を施した「弥良来杉」で根継ぎをしました。
この建物では、「矯正」「手術」として、屋根瓦の吹き替えまで行いました。

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