行き暮れて、木の下影を宿とせば 花ぞ今宵のあるじならまし 平 忠度
ふと、思い出しました。
花見の宴を開くには、サクラの木の一本もあれば充分ですね。ひっそりと本堂の裏のサクラの下で、花見の宴です。シートを引いて、ささやかに、二組の中年のご夫婦らしいですが、優雅な心の持ち主ですね。
山門の横から、三重塔を望みます。サクラの花の辺りのお堂に鐘堂の跡があります。
焼失した鐘堂と安珍を葬った場所だそうです。安珍塚です。
二代目の鐘は京都市岩倉の寺に現存しています。ここ道成寺には鐘はなくなりました。
熊野三山を目指す修行僧が、清姫と知り合いになったけれども、修業中の身の安珍は受け入れません。修行の帰りに立ち寄ると言い残して熊野に向ったのでした。
帰途、清姫が待ち焦がれているのを尻目に、安珍はひそかに通過します。清姫はそれに気付いて追いかけます。遂に清姫は蛇神になって追いかけます。
安珍は仲間の僧の知恵で、道成寺の釣鐘の中に隠れますが、清姫の知るところになり、鐘にぐるぐるに巻きつき、鐘の温度を上げて、焼いてしまいます。
寺の和尚は、絵巻物で絵解きしながら、わかりやすく説話を続けます。聞く人の1/3
は、リピーターでしたね。
左:やっと開放されて熊野へ修行に向うところです。
右:追いかける清姫から隠れるために、手伝ってもらって鐘に隠れているところです。
本堂には、道成寺物語や安珍清姫の数々の舞台写真が、掲示されています。
国宝の本尊千手観音は宝物殿ですが、現在は国重文の千手観音が開帳されています。宝物殿と絵解きの話は有料で公開されています。
本堂の裏に念仏堂があった。西方浄土からお迎えの時の来迎図である。阿弥陀が多くの仏とともにやってきます。
この阿弥陀さんは、永遠に近い時間、瞑想に耽る間に髪の毛が長くなったと言う。
参道沿いの茶店は、釣鐘饅頭の土産で競っています。白あんと黒あんがあります。
こういうストーリーだったんですね
改めてそのストーリーの概要をうかがいまして
『道成寺』はそういう話だったんだと再確認
しています(笑)。
釣鐘饅頭が有名なんですが、撮るのを忘れていました。土産物店を巡りながら、試食で饅頭2個分くらいは腹に入りました。お茶のサービスも行き届いて…
絵巻は、禁撮影のこともあり、「道成寺縁起絵巻」で検索していただければ、かなり詳しい、生々しい絵巻にヒットするようです。