ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

日本の医学研究論文数のみじめな低下~国立大学付属病院長会議データベース管理委員会にて

2010年01月15日 | 科学
1月15日(金)は、自宅のある三重県の亀山市から8時39分発のJRの各駅停車に乗って、名古屋まで1時間ちょっと。のぞみで東京駅へ12時着。地下鉄丸の内線で、本郷三丁目下車。東大へいく途中、昼食時でごったがえしている狭いレストランで焼き魚(サバ)の定食を食べて、会議の開かれる東大病院の管理研究棟へ。

ここでは、午後1時から国立大学付属病院長会議のデータベースセンター管理運営委員会が開かれ、私も顧問の立場で参加。文部科学省の方がたも来ておられ、最近固まった平成22年度の国立大学への予算について説明を受けました。

私どもが、法人化後5年間ずっと政府に訴えて続けてきた、附属病院に対する「経営改善係数」(医業収入の2%相当額の交付金を削減するというルール)の廃止が決定されたということで、この点では、大学病院の危機的状況をある程度ご理解をいただいたものと思います。年末に、何人かの国立大学病院長の皆さんといっしょに、民主党の議員さんに説明にいったことも、良かったのかもしれません。

交付金を一律1%削減するという「効率化係数」も廃止するということで、この点は、民主党のマニフェストに書かれていたことの実行ということのようですが、しかし、交付金の臨時的減額(120億円)を実施するとのことでした。つまり、結果的には同じことですね。なんだかだまされた感じもしますね。

この臨時的減額は附属病院を持っていない大学は1%減、附属病院を持っている大学は1.4%減、附属病院運営費交付金を受ける大学は1.8%減になるということです。ただし、附属病院には別途財政支援をするとのことです。

私は、この管理運営委員会の下にあるいくつかのワーキンググループの中の「戦略ワーキング」の座長をしており、そのワーキングを午後3時から開きました。

そこでは、日本医師会雑誌の正月号に掲載された私の論説のコピーを皆さんにお配りするとともに、文部科学省科学技術政策研究所の桑原先生と阪先生に、彼らが行った我が国の論文数の分析結果を教えていただきました。我が国は特に臨床医学の論文シェアが低下しているのですが、海外の主要国は、それなりに医学に対する研究費と研究者を増やしているんですね。結局、お金をかけないことには、研究は活性化しないということのようです。

このブログでお示しした図は、医師会雑誌に載った臨床医学論文数を示した図ですが、世界の主要国が軒並み増加しているのに反して、日本だけが低下していうという、みじめなカーブになっていることがわかりますね。

民主党は成長戦略で、環境、医療、福祉に力を入れると言っていますが、大学の予算を削って、医学・医療の論文数を減らしているようでは、医療産業の振興もおぼつかず、お話になりません。

このことを、これからどのようにして政権与党の議員さんにご理解いただくか、その戦略を次回の会議までに考えてくることになりました。

午後5時40分ののぞみで亀山駅についたのが8時40分。東京は通勤圏内という感じになってしまいましたね。




コメント (2)
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