ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

学長には結果責任が問われる(大学改革の行方その13)

2012年10月06日 | 高等教育

 前回のブログでは、三重大学で具体的になされた夥しい数の改革についてご紹介しました。

 僕は2009年の3月19日に学長最終講演をさせていただいたんです。その時のタイトルが下のスライドです。これは、三重大学の構成員にはPDCA自己申告書なるものを提出していただくようにお願いしたのですが、言い出した学長自らもしないといけないわけで、この最終講演をPDCA自己申告書にさせていただいたというわけです。

 そこでは、学長としてやったことと、そしてやり残したことを正直にプレゼンしました。

 

 


 下のスライドは最終的な僕の学長としての総括ですが、法人化当初策定した三重大学のミッションの実現について、やり残したことも多いとは言え、おびただしい数の新しい取り組みを行い、ミッションに掲げた「地域に根ざし」という点についても、「世界に誇れる独自性」という点についても、また「人と自然の調和共生」という点についても、それなりの成果をあげたと自分なりに感じていることをお話しました。そして、それはいくつかの項目で数値として表れています。


 

 そして、最終的な僕に対する第三者による評価、つまり三重大学の国立大学法人評価における順位は86大学中14位というものでした。

 この14位という順位を聞いて、僕としては、ほんとうにほっとしました。14位で自慢できるわけでもないのですが、もし、低い順位だったら、三重大学に顔出しすことはできませんからね。三重大学の歴史にも永久に残されます。

 学長(トップ)は結果責任が問われて、言い訳ができない存在ですからね。

 この法人化第1期の評価で低い順位だった大学の学長さんのお気持ちをお察し申し上げます。自分がもしその立場であったことを考えると、ほんとうにお気の毒になってしまいます。

 もっとも、法人化の中期目標期間の途中で学長を交代する大学では、責任の所在がはっきりしないことになります。やはり、中期目標期間に学長の任期を概ね一致させ、学長自らが中期計画の策定を行い、そして、その達成にも結果責任を負うというシステムが最も良いと思います。

 ただ、三重大学がしたような改革努力は、別に三重大学に限ったことではなく、ほとんどすべての国立大学でなされ、大きい大学も小さい大学も、その与えられた資源の下で最大限の成果を生み出す努力をしました。

 これは法人化をしたことによる良い効果であると思います。

 しかし、一方では、法人化そのものとは別の政策とされているのですが、基盤的な運営費交付金が減らされ続けて、教職員数を減らしつつ、このような改革を進めなければなりませんでした。大学構成員が疲弊するのも、もっともだと感じ取っていただけますかね?

 そして、これだけみんなが努力をしているにも関わらず、一部の方々かも知れませんが、今でも国立大学ががんばっていないかのように批判されるのは、いったいどういうことなんでしょうかね?そして、がんばったご褒美はさらなる予算や教職員の削減ということになります。

 このような負の部分も踏まえて、次回は、国大協における僕の話の後半部分「政策・政治リスクにどう対応するか?」というテーマに移ります。

(このブログは豊田個人の感想を述べたものであり、豊田が所属する機関の見解ではない。)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする