昨夜の山中伸弥先生のノーベル賞受賞へのお祝いの言葉がtwitterやfacebookで溢れていますが、僕も改めておめでとうを言わせていただきます。このところの日本は暗い問題が多かっただけに、この国民を勇気づけてくれる受賞は、ほんとうに価値ある明るいニュースでしたね。山中先生のご講演は、今までに3回ほどお聞きしたことがあり、つい最近も、京都大学が9月19日に東京で開催した「京都大学フォーラム」でお聞きしたばかりです。この時は川端達夫総務大臣や森口泰孝文部科学次官がご挨拶されました。森口次官のご挨拶の中で僕の記憶に残っているところは、「”山中先生がマラソンに参加をして研究費の寄付を呼び掛けておられるが、文科省はちゃんと支援をしているのか”、などと、いろんな人から言われているが、それは誤解であり、文科省はしっかりと支援をしています。」とのお言葉でした。山中先生が朝の報道番組に出演されて、非正規の研究者を正規雇用するためにお金がいるので、基金に寄付をしてほしいと訴えておられたことは、僕の以前のブログでも書きましたね。
文部科学省関係の25年度の概算要求を見てみると、「ライフイノベーションの推進」の中に「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(拡充)」という項目があり、約87億円が要求されており、24年度よりも42億円の増を要求しています。その説明としては「疾患・組織別に再生医療の実用化研究等を実施する拠点を整備するとともに、iPS細胞研究中核拠点を中心に、効率的かつ安全なiPS細胞の樹立に資する基盤研究を実施する。」とあります。
また、それに加えて「特別重点要求」として、「iPS細胞研究等による再生医療の実現」として80億円が要求されています。「iPS細胞」という、狭い範囲の専門用語をタイトルに使って要求されている点も異例ですね。
もちろんこれがすべて山中先生に配分されるわけではないでしょうけれども、森口次官のおっしゃるように、しっかりと支援されているように思えます。特に今回ノーベル賞を受賞されたことで、「特別重点要求」も財務省にお認めいただける可能性が高くなりましたね。
もっとも、1件300億円~400億円のプロジェクトが並んでいる原子力や宇宙開発と比べると、比較になりませんけどね。
いずれにせよ、日本の学術論文数が低迷して、国際競争力がどんどんと低下している状況で、今後の科学技術予算を確保する大きな追い風となることを大いに期待したいと思います。
何回も中断してすみませんが、国大協のセミナーの僕の講演の後半部分は、次回に回します。
(このブログは豊田の個人的な感想を述べたものであり、豊田が所属する機関の見解ではない。)