ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

選択と集中の罠(大学改革の行方その10)

2012年10月02日 | 高等教育

 三重大学のマネジメントの話の途中ですが、大学ベンチマークのシンポジウムについて、少しだけご紹介しておきます。

 昨日の台風一過の10月1日に、科学技術政策研究所主催の「研究に着目した日本の大学ベンチマークと今後の大学のあり方について」というシンポジウムが六本木の政策研究大学院大学で開かれ、僕に発表の機会が与えられました。

 これは、科学技術政策研究所が最近報告した調査資料213、「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2011」を巡ってのシンポジウムで、各大学、あるいは研究分野別に論文数や注目度が示されており、大学のクラス分けがなされているんです。また、各大学毎に世界的に貢献している分野が示されており、各大学の研究面での強みの領域が示されています。

 このような大学の”ランキング”のデータを、文部科学省の研究所が公表するというのは、今まではありませんでした。

 この6月に出された大学改革実行プランでも、研究中心大学を客観的データにもとづいて選ぶことが書かれており、来年度の概算要求にも上がっています。そんなことから、このシンポジウムは多くの大学関係者の関心を呼び、事前登録者は390人にもなり、予定された講堂に入りきらないので、別室を設けることになったんです。

 元慶應義塾大学の塾長で、現在日本学術振興会理事長の安西祐一郎先生をはじめ、錚々たる演者が講演されました。安西先生は、僕のブログを読みましたとおっしゃっていただいたので、ほんとうに光栄のいたりです。

 僕の発表は、持ち時間8分に対して50枚もスライドをつくったので、ちょっと発表時間をオーバーしましたけどね。

 実は、以前、科学技術政策研究所からいただいたメールをどこかにやってしまって、先週木曜日のスライド資料提出の締め切りの二日前になって、研究所に問い合わせて、やっとスライドを準備しないといけないんだということに気づき、あわてて準備をしたんです。なので、いくつかミスもあります。

 僕は地方大学の立場から、ベンチマークデータによって、不適切な選択と集中がなされると地方大学にとって、困ることになるかもしれないと感じ、「選択と集中」ということが引き起こす「罠」について、僕なりに強調しておきました。

 スライド資料はすでに、科学技術政策研究所のホームページに掲載されています。

http://www.grips2012-symposium.org/univ_benchmarking2012/program.html

 政府の研究政策にも関わっているある先生からは「ここ数か月のなかでもっとも読みごたえがありました。」とフェースブックでコメントいただいたところです。

 この内容の詳細については、三重大学のマネジメントのお話が終わったあとで、お話しすることにいたしましょう。

(このブログは豊田の個人的な感想を述べたものであり、豊田が所属する機関の見解ではない。)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする