レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「コロナ規則全廃の歓声がロシア軍に吹き飛ばされてしまった〜」の巻

2022-02-25 16:06:40 | 日記
こんにちは/こんばんは。




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Jeremy_Bishop@Unsplash.com


今回はいつもより一日早く更新します。今、これを書いているのは、2月25日の金曜日の午後です。ここ一ヶ月ほど断続的に襲ってくるカメハメハーン(ストーム)が今日もやってきています。

午後はアイスランド全土がイエロー警報(五段階中三番目)以上の警戒下にあり、レイキャビクを含む国の南部のほぼ半分ではオレンジ警報(上から二番目)が出されています。

私は金曜日はだいたい自宅勤務の日としているのですが、執務室(実際は寝室の一角にデスクがあるだけ (^-^; )の窓の外を見ても、暗い空と窓にぶつかる雨の水滴、そして風のうねりが聞こえるばかりです。

暗っ!





金曜日午後の気象状況
Myndin er ur vedur.is


正直暗いですね。天候的に暗いですが、それよりも社会の雰囲気が暗いです。そしてそれは悪天候の故ではなく、ロシア軍のウクライナ侵略のニュースが原因です。

アイスランドでの国際ニュースの扱い、あるいはアイスランド社会の国際ニュースの受け取り方は、それがどこの国からのものか、ということで左右されます。

以前にも何回か触れたことがありますが、例えば武力衝突やテロのニュースに関しても、それが中東やアジアの出来事だとすると、それなりの扱いで報道されるだけですし、社会の態度も「嫌だね〜... さてと次は」みたいな感じです。

それがいざパリで何かが起きたりすると、扱い方のレベルが違うのです。やっぱりヨーロッパの身内意識があるようです。まあ、人間社会であるなら、どこであってもそのような身内意識とかご近所意識は生じるものでしょうが。

パリの余波...アイスランドにも


ウクライナの場合は、西ヨーロッパではありませんので、「ワンブロック、間(あいだ)に挟んだお隣り」くらいの距離感はあるはずなのですが、ウクライナの隣りはポーランド。そのポーランドからの移民はここでは移民のほぼ半数を占めます。




ウクライナと周辺諸国マップ


さらに、今回の侵略でロシアと事実上の同盟を結んでいるベラルーシを挟んで、ウクライナの北にはバルト三国があります。このバルト三国からの移民もアイスランドには多いのです。

というわけで、アイスランド社会にとってウクライナは決して「東ヨーロッパのどこか」ではありませんし、かつ、テロとかではない軍事的侵略という事柄の深刻さ故に、アイスランド社会の感情移入も相当なものがあります。

実際的な問題としても、カトリーン首相は周辺諸国やアメリカと共に、ロシアへの経済制裁へ参加することをすでに表明していますし、さらにこれからNATOがどのようにロシアと対峙するかにもよるのですが、アイスランドがNATOの一種の中継地となるであろうことにも触れています。

とにかく、これ以上武力による衝突がエスカレートせずに、平和的な交渉に転じてくれることを願います。ただ「平和」というのは単に武力衝突がないこととは違いますね。武力によって押さえつけられた状態は、たとえ衝突がなくても「平和」ではなく「支配」「抑圧」です。

そう簡単に事態は打開しないでしょうし、重い日々が続くでしょう。こういう中で、私たち下々の者が気をつけなければいけないのは、「ロシア憎し。ロシア人すべて憎し」みたいな怒りに心を奪われてしまわないことでしょう。

プーチンを憎むのは構わないでしょうが、ロシア人のすべてがこの侵略に拍手をしているとは思いません。戦争は国民の総意などではなく、権力者の欲望の産物だということを忘れるべきではないと考えます。





家から歩いて7-8分のところにあるロシア大使館前での抗議集会
Myndin er ur Visir.is (Myndin er eftir VILHELM)


さて、明るいニュースに転換。本当に明るいかどうかは、ちょっと?な部分もあるのですが、まあ社会全体は「明るい」と受け取っています。

今日の金曜日の午前零時をもって、コロナ感染防止のすべての規制が撤廃されました。「すべての」規制です。

もう何人集まってもいいし、挨拶がわりに抱き合ったりキスしたりしてもOK。マスクをしなくてもOK。ディスコでひしめき合って踊ってもいいし、パブで腕組んで乾杯してもOK。

これまで、国外からの入国者は「48時間以内に出された陰性証明」とか「ワクチン接種済み証明」とか、いろいろ必要な手続きがあったのですが、これらもいっさい撤廃。

ですから、日本からアイスランドへいらっしゃる方がありましたら、アイスランド入国に関してはコロナに関係した制限は何もなくなりましたから。




コロナ規制の撤廃を嬉々とアナウンスする空港のサイト
Myndin er ur Isavia.is


危険物や禁止ドラッグの持ち込みとか、そういうのはダメですよ、もちろん。それからパスポートも必要。まあ、パスポートは入国の際には提示する必要ないですけど。

ただ、日本からの「出国」については、日本側からの規制や条件があるかもしれません。その部分はよく知りません。

そういえば、二、三日前に外務省のお知らせメイルで、アイスランドからの日本への入国の際には、もう検疫期間とういうか隔離されて過ごす義務が免除されるとか。ありがたや。これでまた日本が一歩近くなりました。

で、アイスランド社会はこの規制全廃を歓迎していますが、とりわけこれまで踏みつけられてきた飲食業界や観光業界は諸手を挙げて喜んでいます。「今年の夏は期待できる」とかどこかの観光ビジネスの人が言っていましたね。

その反面で、新規感染者数はこのところさらに増加の傾向にあります。何日か前には、新規感染者数の新記録で3600人とか言っていたのですが、昨日はなんと4300人。

こんな状況で制限撤廃して良いのか?という素朴な疑問がでてきますよね。

ここで大きなポリシーの転換があります。アイスランドでは、もはやCovid19を「特別に危険な病気」とは見なさいことに「オフィシャル」に方向転換したのです。





木曜日の新規感染者数を伝えるニュース
Myndin er ur Visir.is (Myndin er eftir VILHELM)


その典型が感染者についての規制の撤廃です。これまでは感染した場合には症状の有無にかかわらず五日から一週間の隔離が義務付けられていました。ですが、今日からは、休むか否かは本人次第。

つまり、普通のインフルエンザとかと一緒で、本人が具合が悪ければ休むし、なんでもないなら休まないで良い、ということになります。

というわけで、コロナに関しては、アイスランドはひとつのコーナーを回りました。医療関係の皆さんは、それでも念を押しています。「コロナがなくなったわけではありません。重篤化絶対にしないわけでもありません。手洗いやマスク着用、自分で気をつけて、必要と思われる注意を払ってください」

アーメン。ワタシはまだまだ注意しますよ。マスクもできるだけ着けるし、握手もハグもまだまだ避けます。まあ、ハグは相手を見ながら決めるかな?かわゆい女性(ひと)なら拒まず、いやむしろ積極的に。

今日は、本当ならこういう喜ばしい展開に歓声が上がるはずの日だったのですが、ロシア軍の砲弾にかき消されてしまった感があります。好むと好まざるにかかわらず、世界は結びついています。

ロシアの皆さん、もう少しマシな指導者を選んでくれ! と言いたい、です。

ああ、そうか。選ぶ自由がないんだっけ...


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
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