レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド的天然アミューズメント

2021-03-28 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

三月下旬となりました。新年度間近ということになりますね。ネットで見るNスタなどで、コロナ下での卒業式のニュースなどを目にしてはいるのですが、何か、自分自身の季節感というか実感が伴わなくなっていることを、毎年感じる時期です。

こちらでは、今年は4月4日が復活祭(パウスカー)となりますが、そのパウスカーがこの時期の季節感の中心となります。なるはずです、普通は。ですが、今年はパウスカーまであと二週間という時に、ふたつの出来事が相次いで生じて、パウスカー感を押しのけてしまっています。

それがレイキャネス半島でのマグマの噴出とコロナの英国型変異株のアイスランド侵入です。今日はアイスランド語についてのお話しを一時中断し、これらについてお知らせしておきたいと思います。

まずはマグマから。

え〜と、普通はこういうことを書くときは「火山の噴火」という表現をつかうのでしょうが、今回はそういうのはあまり事実を描写していないように思われます。隣りに小さいながらも火山があるにもかかわらず、マグマはそこではなく原野の真ん中に裂け目を作り、「溢れ出て」きたのです。

なぜ、火山から噴火しなかったのか、専門家に訊いてみたいところです。まあ「噴火」なのかなあ?ちょっと微妙なところですね。ワタシ的には「噴出」といいたいところです。




今ではすっかり火山ぽくなった噴出口(後述)
Myndin er ur Visir.is/VILHELM


この「噴出」があったのが、一週間ほど前の金曜日の夜。そして、翌日の土曜日には百人ほどの一般市民がさっそく見学に出かけました。かなり、マグマの流れている近くにまで寄っていき、マグマをバックにしたセルフィーを撮っていました。当然、当局は「危ないから近寄らないように」と警告を発していたのですが。

その日の夕方のニュースで、この件が報じられ、当然私は警察の防災担当からお叱りの言葉が出るものだろう、と予想していました。

ところがです。「別に特別に周囲に警備員を置いたり、囲いをしたりすることはしません」とだけ述べて、あとは「常識に従ってくれ」と言わんばかりの顔。

ついで登場した、レスキュー隊かなんかのおじさんは「途中までは楽な道だけど、そこから溶岩だらけになり歩くのが難しくなります。しっかりした靴を履いて、かつ十分に暖かい登山用の服装が望ましいですね。あと、ガスを吸わないように、かならず風上にいるように」まるで、見学の指導のようなことをのたまわっていました。

案の定、翌日の日曜日には千人を越す見学者の来訪。付近まで車で行ける舗装した道路には、ずらりと車が並べられにわかパーキングエリア。そして噴出口を中心として、流れ出す溶岩の川と池の周囲には、うじゃじゃけたハイカーの人たち。天然の「サンダーマウンテン」的アミューズメント・パークとなりました。




アミューメント・パークと化したマグマ地帯
Myndin er ur Visir.is/VILHELM


溶岩というと、どうも日本人的には「地獄絵」みたいな不吉なイメージがくっついているように思われるのですが、今回のマグマの流れは実際にきれいでそういう不吉な印象はまったくありません。今のところは、ですが。

そういう風なので、面白い出来事もいくつかあったようです。オウロフさんという若い女性は、六歳の娘さんを連れて劇場へ行くつもりでした。ところが、同棲相手のシーグルビョルンさんが「予定が変わったから」と、ふたりを車に乗せて目的地を知らせぬままに出発。

来たのはこの溶岩のニュー・アミューズメント。しかも、徒歩でのハイキングではなくヘリコプターでの空からの遊覧。ヘリにはカメラマン/フォトグラファーの女性も同乗していましたが、オウロフさんは、火山の写真を撮るのだろうと思ったそうです。

ところがその女性フォトグラファーは、眼下に拡がるマグマの光景よりも、オウロフさんらの方をパチパチ撮り始めたそうです。「とても不自然な気がしたんだけど...」

ふたりは地上にも降りたのですが、そこで秘密暴露。なんと、そのマグマを背景にシーグルビョルンさんはオウロフさんに隠し持ってきた指輪を差し出してプロポーズ。




という、おめでたい逸話も誕生したマグマ・パーク
Myndin er eftir Eva_Bjorg_Aegisdottir


「六年も同棲しているので、この辺で結婚するのは別に不思議ではないし、これまでにそういう雰囲気になったことも何度もあります。でも、生まれて初めてのヘリの旅だったし、嬉しい!」とオウロフさんはメディアのVisir.isの取材に答えていました。

その他にも、マグマでできた熱々の岩でソーセージを焼いてホットドッグを作ったり、焼肉をしたり、いろいろな方があるようです。

マグマ焼きホットドッグの様子はこちら


ところで、噴出時には裂け目しかなかった原野でしたが、マグマ流出につれて、火口のような岩の形が形成されてきました。そして、周辺のマグマが冷えて固まった岩の上に、新たにマグマが流れていきます。

これがまた冷えて固まり、その上にまた新たな熱々のマグマが流れる。という具合にして、だんだんと山のようなものが形成されることがあるのだそうです。

詳しくは読まなかったのですが、火星にある高さ42キロ?とかいうどでかいクレーターはそのようにしてできたものだとか。

今回のレイキャネス半島でのマグマ噴出。正確にはGeldingardalurゲルディンガーダールルという場所なのですが、この噴出は専門家によると「何年も続く長い噴出になることが予想される」

と、なると、何年か後には、かなり大きな山になってるかも。




地図中、赤い線の下をマグマが滞留中
Myndin er ur Visir.is


そうなると、コロナで冷え切ったアイスランド観光業界には、まさに「天からの贈り物」ですね。なんせ、アイスランドへ着く国際線の窓から噴火が見えるわけです。

そして、空港からレイキャビクへ向かう途中でマグマ・アミューズメントに寄ることもできるし、隣りのブルーラグーン野外スパと抱き合わせにして、一日のデイツアーも組めるでしょう。

まあ、すべて「コロナが収まったら」という条件が付きますけど。




レイキャビクの隣町、ハフナフョルズルからの夜景
Myndin er eftir Sigfus_Steindorsson via Visir.is


そして、そのコロナですが、こちらの小学校を中心にしてふたつのクラスターが発生。どちらでも英国型変異株が検出されました。

政府はこれを深刻に受け止め、急にですが、また集会を十人にまで制限。(教会は三十人まで) 幼稚園を除く学校は全面休校。音楽会や芝居もクローズ。スポーツ活動やフィットネスも、屋内外を通じて禁止となりました。

かなり徹底した制限ですが、これは「絶対、英国型変異株をこれ以上ばら撒かない」という意思であり、私は正しい措置だと考えています。

教会が三十人までの集会を許されているのは、フェルミング(若者の献信礼)という大切な行事の最中であること、また復活祭の時期にぶつかるからと思われます。

フェルミングについてはこちらも


またまた、私自身も仕事の計画を立て直さなければならず、あたふたしていますが、それでも春が近づいていることは確かですし、まあ、なるべく良いことにも目を配るようにして過ごしたいですね。

皆様もコロナにもかかわらず、それなりに良い新年度を迎えてくださいますよう。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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Facebook: Toma Toshiki
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