レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

レイキャビク飲食業 生き残りの確率は...?

2019-08-11 00:00:00 | 日記
八月も三分の一が過ぎてしまい、素晴らしい夏だったレイキャビクも、さすがに朝晩は空気が冷たくなってきました。それでも太陽が出ると、体感気温はぐんぐんと増し、まだ夏は完全には終わっていない感じです。

その反面で人々がバカンスから戻りつつあり、私自身もかなり仕事が入り込んできており、「夏休み的ムード」はすでに消えてしまいました。

八月はいろいろイベントが多い月なのですが、先週の金曜日、9日は毎年行われる「ヒロシマ・ナガサキを偲び、核兵器に反対し平和を願うキャンドル流し」が行われました。

レイキャビクでは今年で34回目を迎えたのですが、レイキャビク以外でも、アクレイリや北西部フィヨルドのパトリークスフョルズルでも行われたと聞いています。

レイキャビク式灯籠流し


私も参加してきましたよ。風がかなり強く、結構寒かったです。せっかく池に流したキャンドルがみな、岸に押し返された形になりましたし、消えてしまったものも数多く見られました。

寒いのと金曜日の夜ということもあり、集まった人の数が例年より少なかったのも残念でしたね。日本大使の北川さんはちゃんとお見えになっていました。




風に押されて岸辺に固まってしまったキャンドル流し


毎回その年に選ばれたスペシャルゲストさんが短いスピーチをします。今年はダヴィ・ソウルさんという牧師さんでした。もとはコメディアンをしていた人でマスコミに繋がりが強い人です。

私はだいたい毎年参加しているのですが、ここ数年不思議に思うことがひとつあります。私は今まで一度もスピーカーを頼まれたことがないのです。へへ すごい思い上がった奴! と思われるでしょうが、私は長い間この社会での公の議論に参加してきましたし、それなりに知られた人なのです。

政治にも少し関係したことがありましたし、宗教も。しかも日本人。なんで呼ばれないかなー?多分、準備をするグループの中に、誰かものすごくワタシを嫌っている人がいるのだろう、と勝手に想像しています。それはあり得ます。(^-^;

さて、今回は木曜日のモルグンブラウズィズ紙で読んだ、レイキャビクの飲食店事情について少しご紹介します。

私自身はあまり外食をしません。「高いから」というのが主な理由です。思い出す限り外食店の値はずーーーーっと高かったようです。外食を避ける第二の理由は「その値段に比してそれほど美味しくはない」ということ。こりゃ残念。

結果、レストラン等々は外から眺める景色の一部でしかないのですが、それでもダウンタウンエリアの飲食店が年中様変わりしていることには気がつきます。飲食業はリスクが大きい、というのはあちこちで聞く話しですね。

モルグンブラウジィズ紙の記者ソウラさんとバルドゥルさんによると、2018年の八月から今年の七月までの一年間に、レイキャビクでは30の新しい飲食店がオープンしました。ほとんどが市の中心部に集中しています。

その反面、その一年間で14のお店がクローズしてしまいました。(アイスランド語では「開いた」はOpnadi、「閉まった」はLokadiといいます。挿入写真を理解していただけるよう念のため)




レイキャビクのダウンタウンに集中する飲食店 緑は開店 赤は閉店
Myndin er ur Morgunbladid


単純計算で生き残り率は50%くらいのものですね。いかにリスクの高い飲食業とはいえ、これは相当シビアな数字に思えるのですが... もちろん咋夏以降オープンした30のお店の中の14が店をたたんだ、というわけではないですが、それでも統計的に見て、成功する、というか生き残る可能性が半分しかないんですよ。

実は私の知り合いのアフガニスタンからの元難民の夫婦が、つい先日「Afghan Style」というアフガン=ペルシャ料理のファストフード店を開いたばかり。彼らには生き残って欲しいものです。

「観光業協会」のディレクター、ヨハネス・ソウル・スクーラソンさんの話しによると、飲食業を圧迫しているふたつの要因があるとのこと。

「第一の理由は、今年の七月ですが、外国からのツーリストが昨年の七月に比べて14%も少なくなっているのです。レイキャビク中心部の飲食店は、その需要の35%が外国からのツーリストからのものとされています。

言うまでもなく、この観光客の減少は春のWOWエアの倒産が大きな理由ですし、それと前後してアイスランド航空が、所有するボーイング787Maxを『凍結』せざるを得なかったこともあります」

ボーイング787Maxというのは、去年の十月にインドネシアで、また今年の三月にエチオピアで、どちらも就航まもないのに墜落したことから「欠陥機」疑惑が世界中で湧き上がった機種で、世界の各航空会社が調査が終了するまで「お蔵入り」にしているものです。

いずれにしても、アイスランドまで運んでくれるハードウェアが激減してしまったのですから、これはアイスランドの観光業界にとっては悪夢であることは確かです。

「もう一つの理由は」とヨハネス・ソウルさん、「人件費、つまり従業員の給与がアップしたことですね」この冬に書きましたが、今年は組合が高い要求を突きつけ、しかも勝ち取っていました。

春闘!? 怒れる人々の挑戦


立場を変えて、実際の飲食店の営業者はどう思っているのでしょうか?記事は続きます。

レイキャビクのダウンタウン、あるレストランのオーナー。「経営がむずかしいのは、第一に人件費の高騰。第二に食材の値段の高騰」とのコメント。

別のオーナーも同じようなコメントをしています。「店の売り上げなんですが、そのうちの30%が食材費、30%が人件費、さらに30%が建物の家賃という感じでやってきました。もうけは残りの10%だけです。

ところがここにきて、さらに人件費がアップし、他のお店の例ですが、給与費が売り上げの50パーを越すところも珍しくはないですよ、今は」

まあ、これはオーナー側の言い分ですから、そのつもりで聞いてください。それでももし給与のアップがもとでお店がつぶれているのなら、これは労使間の古典的な課題に戻る気がします。




元難民の知人がオープンした「Afgahn Style」うまく軌道に乗りますよう
Myndin er ur Visir.is


私の個人的な感想ですが、そもそも「観光業ブーム」に安易に当て込んで始めるビジネスが多すぎるのでは?市内のいたるところで新しいホテルを建築してきましたが、あれだってもし観光客が「減少の一途」となったらどうするのでしょうか?

レストラン、ホテルだけじゃない。国内ツアー会社、レンタカー会社、お土産屋さん等々。こいつら一蓮托生という奴ですよ。

まあ、でもそれを言ったらビジネスで「ひと山当てる」というのは、みなそのようなものかもしれないですね。ワタシはビジネスセンスはゼロなのでこれ以上口を出すのは止めておきましょう。

最後にかすかに明るい話題。WOW倒産のあおりで一挙に失業者が増えた春でしたが、六月の失業率は3,3%となり、五月の4,8%からだいぶ持ち直しました。

それでも6.800人の人がいまだ失業中。明るさ満点とはいきませんが、Betterではあるようです。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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