クイーンのボヘミアンラプソディがヒットしたせいか
その手の映画が少し息を吹き返しているようで(?)・・・。
「ザ・ランナウェイズ」2010年アメリカ。
ザ・ランナウェイズ伝記映画。
モトリー・クルーの”ザ・ダート”もネットで公開されたし、
ここに来て10年近く前の映画、ランナウェイズを描いた
作品もネットに上がって来ている。
ランナウェイズはファンでして、DVDも購入しているんで
また注目されれば嬉しい限り。
実はユーチューブでも紹介したんですが、ここでも軽く。
年代的にクイーンとランナウェイズはかぶっているんで、
映画的に同じ時代背景になるはずなんですがランナウェイズの方が
全体的に閉鎖的でトーンは暗め。
ボヘミアンラプソディも確かに明るくないエピソードも
多く取り上げているんですが、ランナウェイズの方が
やはりバンド自体がパンキッシュで、また女性(特にティーン
エイジャーだし)がロックをやることの偏見、差別が大きい
時代なのであまりハッピーな雰囲気はないと言うか、ある意味
世間への反逆の象徴みたいな雰囲気もある映画に感じる。
モトリーは80年代に入るんでもうちょっとロックが商業的に、
明るく派手になって市民権を得てきた時代なんでもう少し明るい。
そう、思えば今と随分違うなあと感じるねえ。
今はバンドをやるとかロックを演奏したい・・・とか言っても
それほど偏見はないでしょ?それどころか学校で推奨されていたりして。
あの時代はもうちょっと屈折していて、スポーツなど健全なことに
打ち込むのは喜ばれるけど電気ギターを弾くなんて不良だ・・・
みたいな(笑)。実際中学校ではエレキギターは禁止だったよ。
映画の中でもジョーン・ジェットが学校でエレキを習うんだけど
先生がつまらないカントリーを強要して、ジョーンがアンプに繋いで
スモーク・オン・ザ・ウォーターがいいと言うと「女の子にエレキは
教えない」って言われるシーンがある。
それと初めの方のシーンでジョーンがお金を貯めて革ジャンを買いに
行くシーンがあって、そう言うことだったんだよね、ロックバンドを
やるって言うのは。
ちょっと大げさかもしれないけど、ライダースを着るとか、髪の毛を
伸ばすとかブレスを付けるとか、そう言ったファッションを含めた
部分、普通の人とは違いますよ的な覚悟のようなものが必要な
時代だったんだよね。
いや、別に坊主でバンドやっても大丈夫ではあったけどさ(笑)。
今よりは明らかに”少し道を踏み外しますけど何か?”
みたいな明確な意思が必要だったよ。
反逆、REBELなんだよ、ロックの基本的な概念は。
何も本当に反体制とか変な活動をする必要はまったく
必要ないしそれと結びつけるのはナンセンス。
日本人はその辺が勘違いしている人が多く、「ロックな生き方
かっけぇー」みたいな人がいまだにいるけどそれは逆にダサイし
完全に勘違いしている。
生き方は人に迷惑かけずに生きろ(笑)。
この映画では色々言いたいこともあるけど、個人的には
ふたつほどある。
一つは”ボヘミアン”でも”ダート”でも出てくるんだけど
この映画でも同じセリフが出てきて、
「バンドは家族と同じ」と言うセリフ。
この頃はバンドって世間と戦うような部分があったからね。
今みたいに暖かい目で見てくれない方が多かったわけだし。
二つ目はジョーン・ジェットの何が何でもロックバンドを
やると言う不屈の精神。まさに三つ子の魂百までを地で行ってる
生き方(笑)。アメリカにこのことわざがあるかは知らないけど。
バンドを組む前にジョーンがスージー・クアトロのワイルド・ワンを
歌う(叫ぶ?)シーンがあってそれがこの映画を象徴している。
そのジョーン役のクリステン・スチュワートは本物そっくりで
驚く。絵ヅラだけでなく仕草までも超そっくり。
チェリー役のダコタ・ファニングも頑張っていい感じだけど、
基本的に少し子供っぽいと言うか丸顔なんでね(笑)。
チェリーは細面だったから。
ちなみに事実に基づいた脚本なんだけど、なんと書いているのは
リードボーカルだったチェリー(シェリー)・カーリー。
自伝が元になっているようです。今でも歌っているようだけど、
お元気そうで何より。
残念ながらドラムのサンディー・ウエストは亡くなったんだよね、
何年か前に。
R.I.P サンディ。