肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

“遺作”三本締め

2006-05-12 21:40:24 | ★独断と偏見的シネマ・セレクション3

独断と偏見的シネマ・セレクション3
(キーワード別)“遺作”

1、『ザ・デッド 「ダブリン市民」より』(ジョン・ヒュートン)
2、『サクリファイス』(アンドレイ・タルコフスキー)
3、『まあだだよ』(黒澤明)

ザ・デッド 「ダブリン市民」より

ビデオメーカー サクリファイス

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「感性」がものを言う映画監督にあって、
その晩年まで“優れた作品”を撮り続けることは難しい。
しかも、それが「遺作」ともなると尚更だ。
 1は、J・ヒューストンの遺作にして“最高傑作”ではなかろうか。
映画の最初の2/3は淡々とした食事会のシーンで
大したことはないのだが、それ以後の1/3が物凄い。
“死”を目前にしないと見えないもの‥‥
“人生の終わり”になってやっと見えるもの‥‥
そういう…、言葉ではうまく表現できない
“人生の儚(はかな)さ”を感じてしまう。
 2と3は、単純に作品の出来を比較すれば、
それを上回る“巨匠の遺作”はいくつかあると思う。
(例えば、D・リーン『インドへの道』、ヴィスコンティ『イノセント』など)
しかし、タルコフスキーと黒澤明、それぞれ両者が
自分の死期が近いことを感じ取り、
次の世代に残した‥‥いや、託した“遺言”ではないのかなと。
特に3は、最初に観た時はサッパリだったのに、
今では観直す度に泣けてくる。小さくとも素敵な作品だ。

 



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