肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ハサミ男』、観ました。

2005-11-18 20:43:51 | 映画(は行)
ハサミ男

東宝

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 『ハサミ男』、観ました。
美少女の喉に研ぎ上げられたハサミを突き刺す連続猟奇殺人鬼“ハサミ男”。
しかし、ある時、ハサミ男の犯行をそっくり真似た手口で新たな殺人事件が
起きてしまった。知夏と安永は、その犯人像を追い求めていくのだが……。
 好奇心半分、軽いシャレのつもりで観たのであるが(笑)、ドッコイ、
これが思った以上に面白い。70年代ドラマを彷彿させるクラシカルな雰囲気と、
ジャージーなトランペットのBGMが印象的。俳優陣も、豊川悦司、麻生久美子、
阿部寛など、クセ者個性派がズラリ勢ぞろい。一方、シュールでブラックな
映像は、コミカルなのか…、シニカルなのか…、観ているボクにもよく
分からない(笑)。ただひとつ言えるのは「確実に楽しめた」ってこと。
昨今の“グロ”ばかりが先行するサイコ映画にあって、今作は異色中の異色作。
オイラはとっても気に入ったよ。
 さて、映画は冒頭から、トヨエツが怪奇“ハサミ男”に扮して、極悪非道の
数々を‥‥な~んて思っていたら、実は、な、な、な、なんとトヨエツが‥‥
おっと、その先は映画を観た人にだけ“知る権利”ということで……(笑)。
まぁ、トリック自体は、例の流行りのヤツ(?)の応用編ではあるんだけどね。
ただ、今作の場合は、どんでん返しよりも“その先(ネタバレ後)”にあるもの‥‥
むしろ、この映画の本質は“そこ”から始まるといっても良いかもしれない。
輝きの失せた瞳、笑顔が消え、感情を殺した少女の“亡霊”……行き場のない
哀しみに、きっと少女はもがき苦しんでいたんだね(涙)。また、最後の
最後にして、何故“ハサミ”だったのか??、何故“包丁”ではダメだったのか??、
という理由も分かってくる。終わってみれば、何とも切ない……そう、まるで
鋭く尖ったハサミを胸に突き刺されたような“痛々しさ”を感じました。


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