肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ブラック・スワン』、観ました。

2011-12-19 19:09:09 | 映画(は行)

監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、 バーバラ・ハーシー
※2011年度アカデミー賞主演女優賞

 『ブラック・スワン』、観ました。
NYのバレエ団に所属するニナは、元バレリーナの母と共に、その人生の全てを
ダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じる
チャンスが巡ってくる。しかし、純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な
黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの
高すぎる挑戦だった。やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく‥‥。
 重厚な“人間ドラマ”を期待するよりも、“サスペンス映画”として観た方が
スッキリする。それまで安全な場所にいたヒロインが、ふとした事から“今とは
違う、別の世界”を知る。そっちへ行ったら危ないゾ、ヤバいゾと思いながらも、
どんどん足を踏み入れていく展開は、まさに“サスペンスの王道”だ。ただ、
普通のサスペンスと少し異なるのは、ヒロインの命を狙う対象(殺人犯)が、
外部の何者かではなく、心の闇に潜む“(もう一人の)邪悪な自分”だということ。
ま、そういう風に書いてしまうと、現実と虚像が交錯した難解な内容を想像して
しまうが、全体がよく整理されていて、観る側が混乱することはない。
オーソドックスなサスペンスだと思った。
 さて当然ながら、ここでナタリー・ポートマンを語らずしてこの映画は語れない。
そういえば、かれこれ10年程前のこと、当時交流のあった映画メル友さんが
こんな事をいってた。「キャメロン・ディアズの作品選びはイケてるけど、
ナタリー・ポートマンはイケてない。ポートマンに目利きの出来るエージェントが
つけば、すぐに大ブレークしそうだけどね」って。当時のキャメロン・ディアズは、
絶頂期にありながら『彼女をみればわかること(盲人役)』や『マルコヴィッチの
穴(くたびれた主婦役)』など、興行を度外視した作品に出演し、観る度毎に
ハッとさせられた。言ってみれば、ディアズには想定外の楽しみがあり、
ポートマンにはそれがない。清純で美しく、確かな演技力はあってもどこか
魅力に欠ける女優だった。まさに、その両者の比較は、この映画における
《黒鳥》と《白鳥》だ。(身近な例を挙げると、両者をフィギュアスケートの
キム・ヨナと浅田真央に置き換えても良いと思うが。)何はともあれ、この映画の
成功は、そんな“白鳥”のナタリー・ポートマンが、己の弱点を自覚した上で、
それをすべて曝け出している点だ。行き詰まったヒロインの苦悩と焦り…、
身の丈以上の役に圧し潰れそうになるのを必死にもがき、自分を更に
追い込むことで深みに嵌まっていく姿が痛々しい。そして、ついに夢から野心へ…、
美しいだけの白鳥が自分の弱さに気付いたとき、“強き黒鳥”へと変貌する。
そう考えれば考えるほど、この映画のヒロインはポートマン以外に考えられない。
いや、少し意地の悪い言い方をすれば、今作は彼女の目利きがどうこう以前に、
はなからポートマンをイメージして作品が書かれた印象さえある。まるで作品の
方が彼女を選んだ、みたいな…。多分、彼女の、本当の真価が問われるのは
“次の作品”だろう。だからこそ、次回作は慎重に作品の目利きをして欲しい。
当たり役とかハマり役とかじゃなく、「えッ、これがあのナタリー・ポートマン??」
と思わせる、“想定外の彼女”をみたいなあ。


楽天市場ランキング・売れ筋DVD邦画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVD洋画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアジア映画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアニメトップ30

Amazon.co.jp 外国映画トップ100
Amazon.co.jp 日本映画トップ100
Amazon.co.jp アニメトップ100

DMM.com DVD通販CD予約販売


DMM.com CD&DVDレンタル

  

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿