徒然草Ⅱ

「アッ!」「イイねえ!」「ウッソー!」「エーッ!」「オおぉ!」ということを書きたい!?
(読書日記備忘録を中心として)

ひとさし指のノクターン ~車いすの高校生と東京藝大の挑戦~

2021年11月26日 | ノンフィクション

書名  ひとさし指のノクターン ~車いすの高校生と東京藝大の挑戦~
著者  新井 鷗子、高橋 幸代
発行社 ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
発行日 2016年12月20日
頁    210
価格  1,500円 + 税

「本物のピアノでショパンが弾きたい」
障がいのある4人の若者が藝大を動かした!

2015年12月、4人の車いすの高校生が東京藝術大学の舞台に立った。
指が不自由でペダルが踏めない彼らは、いかに困難を乗り越えたのか?
演奏や練習の工夫、ヤマハの演奏支援システムへの着想、そして諦めない情熱。
音楽家と技術者が車いすの高校生たちから学んだ、音楽と科学の未来とは。

障がい者と芸術家、技術者が起こした奇跡の記録が書籍化!

【概要】
本書は、東京藝術大学が2015年に行った『障がいとアーツ』というイベントで、
肢体不自由のある4人の高校生がステージでピアノを
演奏するまでの記録を書籍にしたものです。
高校生たちは「ピアノが弾きたい!」という強い思いはあるものの、
指が動かずペダルを踏むこともできません。
彼らがステージに立つには、多くのハードルをクリアする必要がありました。
片手で弾くためのテクニックや工夫、メロディに追従して伴奏をつけるという
ピアノの演奏追従システム、そして演奏に合わせてペダルを踏む仕組みなど、
東京藝術大学の研究者はヤマハの技術者たちの力を借りながら、
高校生たちの演奏をサポートし、「音楽的」な演奏に導いていきます。

必死に音楽やピアノ、自分と向かい合った高校生たち、
彼らに音楽の楽しさや演奏技術を伝えようとする東京藝術大学や
筑波大学附属桐が丘特別支援学校の指導陣、
また演奏を支援するため研究と工夫を重ねたヤマハの技術者たち、
高校生たちを応援する多くの人々。
この本では、さまざまな角度からこのプロジェクトに関わった人々の苦闘の日々を綴っています。

さらに、ステージまでの日々のなか、プロジェクトに関わった人々は、
それぞれの立場から多くの発見をしていきます。
音楽とは、芸術とは、科学技術とは一体何のためにあるのか?
将来どうあるべきなのか?
「答えの出ない問い」へのひとつの解答が、この本には収められています。

【「はじめに」より】
「障がいのある方々と共にひとつのステージをつくり上げていく日々は、
数多くの気づきに満ちていました。
芸術、福祉、教育、科学技術と多岐にわたる領域が融合したプロジェクトは、
それぞれが異なる領域についての理解を深める場となり、「障がいと表現」、
そして「芸術と科学技術」の可能性を示唆するものとなりました。」
松下 功(東京藝術大学 副学長)

[目次]
プロローグ 「ピアノが弾きたい! 」
第1章 障がいとアーツ~高校生との出会い
第2章 もうひとつの出会い
第3章 対面
第4章 チーム始動!
第5章 革命が起きた!
第6章 透明人間との共演
第7章 輝く舞台へ
第8章 舞台裏
第9章 未来の技術、未来の音楽
エピローグ 新しい始まり

今年読んだ本の中で1番または、2番目に感動しました。

・音楽は、その場にいて、その場を共有して感動する、というもの

・大切なのは、技術的な難易度ではなく、「弾きたい」という思い。

・ある年齢以上の人間にとって、自立することは、
 精神をのびやかに保つために大切なのかもしれない。

・異分野との出会いは、イノベーションに有効だと言われる。

・単なる娯楽ではない、そのような喜びを人生の糧とするには、
 とにかく自分で体験するしかない。

・技術は、人の「思い」に寄り添うものでなくてはならない。

・価値が多様であると知ることは、ひとつの価値の束縛から自由になることでもある。

・夢のように感じるあの日々が、確かにここにあった。

・科学や技術の発展とは、人間の感情の文脈のなかにこそ
 生まれ得るものだ。



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