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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『Girls' Day / Boys' Day』 Minako Ishii (石井美奈子)

2007年05月05日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け









今日5月5日は 端午の節句、こどもの日。というわけで、今日は写真をふんだんに使って、ど~ん!と、こどもの日スペシャルです!


生徒たちは5月3日や11月3日が何の日かわからなくても、5月5日だけは絶対に知っています。ただし、もうちょっと突っ込んで、じゃあ “端午” ってどういう意味?となると、もうこれは大人でもいけませんね、きっと。


“なぜ鯉のぼりをあげるの”、“なぜかぶとを飾るの”、と聞かれるまでは何とかなっても、どうして “菖蒲(湯)” なのか、“かしわ餅” なのかと聞かれたら……、 “うるさい!” って言っちゃあ駄目ですよ(笑)。



そこで、すばらしい写真集をご紹介しましょう。現代日本から平安時代にまでさかのぼる、端午の節句と桃の節句の伝統、そして今に伝えられる地方の風習を美しい写真とともに易しい英語で子ども向けに解説した一冊です。


↑の写真だと二冊のように見えますが、これで一冊。両表(おもて)と言えば良いのか、リバーシブルとでも呼ぶのでしょうか。要するに、写真は本書の表と裏です。


ハワイ在住の日本人カメラマン、Minako Ishii (石井美奈子)氏の作品で、文章も石井氏が書いています。この本、ハワイではベストセラーになったそうですが、日本ではアマゾンと紀伊国屋でしか扱っていないとのこと。英語の本ですから仕方ないのかも知れませんが、日本中の子どもたちにプレゼントしたくなるようなキュートな写真集です。



BBI carps.JPG





BBI doll.JPG




子ども用とはいえ、中身はなかなか本格的です。プロカメラマンの本ですから、写真がすばらしいのは言うまでもないのですが、この文化の由来や日本各地の節句の祝い方、そしてハワイでの様子まで紹介してくれています。


ひな祭りは地方によっていろいろな祝い方があるものなんですね。知りませんでした。そして、それぞれの風習について、宗教やら風土と関連付けて短く説明されています。



nagasibina.JPG



 

こいのぼり 職人.JPG

 


実は著者である石井さんのお知り合いが拙ブログを紹介してくださったそうで、石井さんと数回メールのやりとりをする中で、その文化伝承や異文化交流に対する情熱と作品のすばらしさに感銘を受けてご紹介させていただきました。


石井さんはソニーに8年間勤められ、世界中を飛び回っていたそうですが、教育への思い絶ちがたく、同じ自分の時間・労力を費やすのであれば、一会社の利益追求ではなく、コミュニティに接して子どもたちに伝統・文化を伝え、それを広げていくことに使命感を持ち転職されたそうです。


実際に、“写真を通しての教育” という、大変興味深い実践もされています。



hawaii students.JPG



↓がその活動を紹介しているHPです。 Beyond Borders Images 【国境を越える映像】 とでも訳すのでしょうか。子どもの笑顔は国境を越えるというポリシーが感じられます。

 

↓↓↓

Minako Ishii(ENTER).jpg




本の中で、各写真の横にわずか数行、英語で解説が書かれていますが、そうですねぇ、中3なら辞書を使えば、何とか訳せるレベルだと思います。ハワイでも日本文化を残そうと努めている方がいらっしゃるんですね。


石井さんは写真という手法で後世にまで文化を伝え、我々が何気なく祝っている、3月3日、5月5日の持つ歴史の重みを子どもだけでなく、大人にも感じ取ってもらえるように一生懸命工夫されている様子です。


日本に祖先を持つ方々が多く住まわれるブラジルやハワイで、日本の土地に足を踏み入れたことがない日系の方々が、現代日本人よりさらに日本文化を大事になされている様子にも感銘を受けました” とおっしゃっていました。



 


hawaii girl.JPG




先日ご紹介した、『日本文明の真価』 の著者も強調していましたが、石井さんも本書の取材を通して、日本には自然に密接なつながりを持った神道の文化が根付いていると感じられたそうです。


もとをたどれば、はるか唐の時代に、中国から伝わってきたひな祭りと端午の節句。日本人が独特の文化に昇華させ、風情、情緒あふれる自国の風物詩に溶け込ませていますね。日本文化のふところの深さ、海外にいる日系の方々の望郷の念までも伝わってくる良書だと思います。


たまたま、ピッタリのタイミングで今日、5月5日に本書を取り上げることができましたが、単なる “季節もの” の写真集でなく、子どもたちにぜひ見せたい一冊で、こういった活動をされている方の作品をご紹介できるのは大変うれしいことです。

 



P.S. 偶然、つい最近ソニーの
出井氏の著作を取り上げたばかりですし、数日前には私のヘタなこいのぼりの写真をUPしたところですので、かなりはずかしかった(笑)。こういうこともあるんですね。本物でお口直し(?)をどうぞ!









  

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P.S.2 ysbeeさん、お近くじゃありませんか?ホノルルだそうですが…。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日系人社会 (ysbee)
2007-05-05 12:16:50
おやおや、地元でこんな本が出ていたなんて、ちっとも知りませんでしたよ。石井さんという方も、まだ存じ上げませんね。どちらの学校にいらっしゃるんでしょう。あとで早速サイトに行ってみます。

その方もVIVAさんに伝えてらっしゃる通り、ハワイの日系人はみな先祖の血に誇りをもっており、コミュニティでも盆踊りとか灯籠流しをやっていますよ。私は米人と結婚したので、祭日は米人のパーティーの方へ呼ばれてしまいますが、日本人カップルで定着した家系は、2世、3世も日系人同士で家庭を持ち、風俗習慣を守ってきているように見受けられます。

まぁ、チャイニーズもコリアンもフィリピーナ、メキシカン、ギリシャ人も、みなそれぞれのお祭りを祝ってますから、ハワイはその意味ではアメリカの縮図というか、本当に人種のるつぼで、幸いなことに角突きあわせずに和気あいあいとやっています。

こちらにも日本各地の県人会とかあるようですが、結構足引っぱりで泣いたという話しを来て早々に聴いたので、いまだにそういった「日本人」へは足を踏み入れていません。(食わず嫌い?)

石井さんと言う方、SONYであちこち回られたというなら、SONY出版じゃないでしょうか。たしかホノルルに『アロハ・エクスプレス』とタイアップしているコーディネータというか代理店があったと思います。

良い本を紹介してくださいました。早速向かいのショッピングセンターの本屋へ行って買ってきます。Aloha~!
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Unknown (すかいらいたあ)
2007-05-05 15:34:08
個人的には、中国の戦国時代まで遡る端午の節句と粽(ちまき)の話は息子に語り継ごうと思います。

憂国詩人、屈原が入水自殺を遂げた日というのが本当なのか伝説なのかは分かりませんが。。。
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ysbeeさん (VIVA)
2007-05-05 15:49:03
私は、ハワイに行った時に、知り合いのそのまた知り合いの方が結婚式を挙げるというので、式に出てくれと言われました。グアム島なんかでよくやる教会のやつだったら、何回か出たことがありますし、思い出になるからと思って、出席を快諾して、連れて行かれたのが、なんとなんと創価学会のお寺!

数珠を渡されて、正座して、そりゃもうび~くり。勧誘はされませんでしたけどね。仏前の結婚式は日本人でありながら、出席したことがありませんでしたから。お坊さんは袈裟を着ていましたが、寺に入ってくるときはアロハでした(笑)。

普通に観光に来ただけではわからなかったでしょうが、ハワイにも日本人社会というか、そういう施設がちゃんとあるのに驚いた記憶があります。絶対忘れないでしょうね(笑)。
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すかいらいたあさん (VIVA)
2007-05-05 15:53:41
おっ、お休みですか。こんにちは。

改めて調べてみると、端午の節句も桃の節句もおもしろいもんですね。本当にいろいろな言い伝えや風習があるもんです。

大元の起源ははるか昔の言い伝えでしょうから、なかなか確かめられないでしょうが、ロマンがありますね。

いずれにしろ男の子は龍になって強く戦う、昔も今もそういうイメージなんでしょうね。
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Unknown (milesta)
2007-05-05 21:14:34
美しい本のようですね。こちらの学校で、日本の文化を教えることがありますが、お雛様に感心する先生が多いです。あんなに繊細な御人形を作れるというのが信じられないようです。
英語だそうですから、学校に紹介してあげようかしら・・・。




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milestaさん (VIVA)
2007-05-06 09:37:01
そうですか、お雛さまに関してなら、ぴったりの一冊かもしれませんね。記事に書いたとおりですが、小学生くらいからOKですね。小さいサイズの写真集です。よろしければ、チェックしてみてください。
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いやいや~ (ふる)
2007-05-06 14:26:08
妙にVIVAさんブログがキレイに見えると思ったら・・・(笑)

冗談です。
鯉のぼりの写真すごく好きですね。鮮やかな色。
後、若い女性たちの写真(笑)生き生きしてますねえ。

BEYOND BORDER IMAGESも実にいい言葉ですなあ。

追伸:VIVAさんそしてたまたま見かけたみなさんが、ゴールデンウイーク最終日をエンジョイされますように。
二伸:久々に本取り上げましたので遠慮なくTB送らせて頂きます。
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ふるさん (VIVA)
2007-05-06 15:42:31
でしょ?でしょ?

最終日はあいにくの雨ですね。でもまぁ9連休なんていう人たちにとっても、お出かけ疲れを癒してくれそうで good じゃないんでしょうかね。今日、“移動” する人たちにはうんざりですが…。

またすぐ梅雨の季節だなぁ~とせわしなくもありますね。



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素敵な本ですねえ! (atsushi)
2007-05-07 01:19:42
VIVAさんはじめまして!ブログ村からきました!
この本・・・・シンプルなんだけど、とても暖かいものを感じさせてくれる本ですねえ。

>日本には自然に密接なつながりを持った神道の文化が根付いている

上記、うんうんそうだよなぁ!とつい画面に向かってうなづいてしまいました(笑)
つい数日前、たまたまつけていたテレビで(テレビ東京 たけしのなんでもピカソ だったかな)、書家の方がゲストに出てらして、書にはその人の本当の姿が映されるというような話がでてまして。

70歳で初めて文字を覚えて、毛筆で書を書き始めたおばあちゃんの書画集に「ほとけさま」という書が紹介されていました。

本当に素直で、「あぁ、この人は日常の中にほとけさまを感じて生きてらしたんだなぁ」ととても暖かい気持ちになりました。

八百万の神といいますが、昔の日本人は自分たちの目に見えないものや人間の力ではどうにもならないもの(例えば地震・津波・雷などの天災)に対して畏れ、平和な日常に感謝しつつまた、災害に遭わぬよう祈りを込めていたのだそうです。

私の知り合いには教育関係者が縁あって多くいるので、この本を買ってプレゼントしてみようと思います。

石井さんの活動にも興味を持ちました。
いい本をご紹介いただきありがとうございました!
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atsushiさん (VIVA)
2007-05-07 02:14:41
はじめまして、コメント恐縮です。

atsushiさん、そうおっしゃっていただけると、本当に紹介して良かったと思います。この本は記事に書いたようなご縁で知ることができたのですが、おそらくまだまだ隠れた良書はたくさんあるのだろうと思いました。

丁寧なコメントに本当に感謝いたします。よろしければこれからも時々お立ち寄り下さい。
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