これも小学校高学年以上の生徒たちに、春休みにぜひ読んでもらいたい一冊です。以前ご紹介した 『ミラクル(辻仁成)』も忘れられない名作だと思いますが、本書もそれに劣らないすばらしい作品です。どちらも、母親をさがすお話しです。
たった一人での母親さがしの冒険ですが、『アルケミスト』のように魔法も奇跡も出てきませんし、太陽や風もしゃべりませんので、全然、売れてはいませんが(笑)、じっくり読んで、深く感動できるのではないかと思います。
ストーリーを紹介します。■~■
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主人公のジェームスは15歳の少年で、飛び込みの選手。将来オリンピックも狙えるかというほどの有望な人材です。父親はその鬼コーチですが、普段は父母ともに優しい家庭です。
ただ、ジェームスは養子であり、両親はそのことをオープンに話してきました。それで幸せに暮らしていましたが、ある日の飛び込みの練習中に、父親が想像を絶する厳しい指示を出し、そのせいでジェームスの仲間に事故が起こります。
その時は激しく父を憎み、それをきっかけに親子にわずかな溝ができてしまい、どうしてもジェームズは自分の本当の親、自分の出生に関して知りたくなってしまうのです。
ついに両親をごまかして、飛び込みの合宿に行く途中、自分で本当の親を捜す旅に出かけてしまいます。生みの母が書いた、“サミー(ジェームスの元の名)をお願い” の紙辺と、自分がもらわれた時に身に付けていたアンモナイトを手がかりに。
そこからは、ちょっとした探偵なみの推理力と、思い切りのよい行動力で先の見えない冒険にいどみます。途中で知り合った人が力になってくれるなどして、とうとう産みの母に再会します。
最後、アンモナイトを見たお母さんは、それと悟り、
『幸せなの?サミー』 と聞き、それに頷くと『よかった』 と答えて、家族の方へ歩いていきます。
その後、ジェームスは家にもどり、元の生活の中で飛び込み選手として活躍します。
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少年や少女が、成長する過程でどうしても、これまでの自分や家族の枠を超えて何かを知りたいと思う時期が訪れます。親子であるがゆえに、教えにくいことや、聞きにくいこともあるでしょう。
親のかわりに、塾の講師に聞いて、ことが足りれば良いのですが、どうせ親と裏でつながってるし(笑)、で、結局は 『勉強しろ!』 と言われることは目に見えていますから、本でも読もうと。
そして本では得られないものを得るために、本に書いてあることを自分の目で見てみたい、あるいは好きな本を書いた人の境地に近付こうと思って、きっと少年たちは旅に出るのでしょう。
冒険や旅を終えて自分が知ったことを、どういうわけか成長した子どもは心にそっとしまっておく。きっと、こういう時から、自分と自分の親を客観的に見られるようになるのだと思います。
非常にすがすがしい一冊です。自分の子が反抗期だと感じている親御さん、お子さんに薦めてみたらいかがでしょうか。
蛇の石(スネークストーン)秘密の谷 新潮社 詳 細 |
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『蛇の石(スネークストーン) 秘密の谷』バーリー・ドハティ著 中川千尋 訳
新潮社:219P:499円
全然、関係ないのですが、大学入試で英単語はどれくらい必要なのですか?
一応、外大、総合政策あたりを考えているのですが・・・
ちなみに、今はキクタン6000が終わって、手持ち無沙汰な状態です。
今日の記事は、後半のVIVAさんの紹介文のところもすごく良いですね。子供達をたくさんご覧になっていると、ああいうことが書けるのでしょうね。
英単語はいろいろな人が、いろいろなことを言うのだけど、数だけを言えば一番少ない人で2000、多い人で6000というところです。さすがに2000ではとても外大や総合政策に限らず少ない。
英検1級レベルが10000と言われています。すでにキクタン6000が済んでいるのなら、そして、キクタンが自分にあっていると思うのならその上のレベルをやれば良いでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/tokkun-book/e/c13ca58f3b8ec6d4d820fdbb07de3315
↑参考にして下さい。大学入試のレベルを超えていると思うけどね。今の時期にすでにキクタン6000を終えることができるのなら、単語集より、英文解釈に磨きをかけることを考える方が良いと思いますよ。
おほめの言葉をいただき、恐縮です。さらに精進して、いつも生徒たちが読みたくなるような紹介ができるようになると良いのですが…。
ありがとうございます。
ああ、精神的には8歳なので難しいですかね。
何か、一応の抑制が効いているというか、だってさぁ、人が死んだりしないし、その上何と!
太陽がしゃべんないんだ!
太陽がしゃべったり星がまばたきしたりする方にすんなりですが、
「少年は旅に出る」というのには弱いですねぇ。惚れるという意味で。
だから昔から、ベッキーよりもトム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに憧れました。で、そのまま、インディアナ・ジョーンズやアラビアのロレンスにつながっていっちゃった訳です。
いいなぁ、冒険王!
こういうふうに、少年が自我に目覚めて旅に出る、というテーマは
アメリカでは「coming to the age」と言って、
昔から随分沢山の映画がありますね。
古くは『理由無き反抗』や『エデンの東』。
下って『スタンバイミー』やスピルバーグの『アメリカン・グラフィティ』なんかは典型的。
でも人生そのものが、自分のラストシーンを求めて彷徨する道程なのかも知れませんから、そういう意味では誰もが「少年の旅」の延長線上を歩いているのかも知れませんね。
ところで、いつも不思議なのですが、
どうやってこういう本と巡り会うのですか?
私たちはVIVAさんのご紹介にあずかれるから楽ですが、
そのVIVAさんはどうやって見つけるのかなぁ、というのが謎です。
あっ、企業秘密か!
学生のアルバイトは違うでしょうが、プロの塾講師というのは変わり者が多く(怒られるかな?)、もっと安定した高収入の仕事はあると思うのです(きっと)。
そういう人々はやっぱり問題意識が高く、いろいろな本を読んでいて、常に刺激しあっているようなところがあります。教材研究はもちろん欠かしませんが、教室の授業とはまったく関係のないところでも様々な書籍を紹介してくれるので、それらを読んでいると、こういう“ごった煮ブログ”が出来上がります。
VIVAさんの学校は、何か昔 (江戸末期) の塾と言うか、寺子屋と言うか、
学問や知識への情熱をシェアするために存在していて、
生徒さんもその恩恵に大いに預かっているようにお見受けします。
それこそ教育の原点で、求めよさらば与えられん、
を体現してらっしゃるのでは、と察する次第。
日本の瀕死の教育体制の中で、
予備校の方が生き生きと本来の学問の情熱を伝えてらっしゃるようで
頼もしい限りです。
生徒さんの反応が、教育者の一番の喜びでしょうから、
今年も (今年度も) お仲間の先生方とご一緒に、がんばってください!
いやいや過分なお言葉、ありがとうございます。
申し上げるまでもなく、塾は激しい競争に昔からさらされていますし、私立校もそろそろつぶれるところが出てきましたから、それぞれ特徴をアピールしようと必死です。あとは公立ですね。
当教室の先生たちも、情熱だけは人一倍ありますから、新年度も気合充分で春期講習に入っております。