江戸時代の職人や学者を取り上げた一冊です。
“麻田剛立(あさだごうりゅう)” という人物をご存知でしょうか?ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン にも劣らぬ江戸時代の大学者、と言ったらおおげさかな?
彼は、暦についての著作しかないために、業績をさぐるのは、弟子たちの著作などから推測するしかなく、彼の業績として確定できないような歯がゆさがあります。
というのも当時、天文学の目的はただ、農民のために正確な暦を作るためだけの“作業”に過ぎず、“学問”とすら見なされていませんでしたから。
幕府の暦に載っていない日食を予言、的中させたことで彼は有名になります。それ以前から西洋では天動説、地動説などをめぐって裁判沙汰になっていましたが、彼は幕府の出した日食の誤りを堂々と二度修正しました。
計算によって正確に日食の日を予想したのは世界初!西洋で計算によって日食が割り出されたのは、その150年後のことだそうですから、世界的偉業です。
ところがです。日本史の教科書には「江戸時代の暦は蘭学を学ぶことで進歩した」などと書いてあります。剛立はオランダ語を読むことすらできなかったんですよ。教科書間違ってますよね(笑)。本人の学問的資料が残っていない悲しさでしょうか。
さらに「惑星の公転周期の2乗は、恒星からの平均距離の3乗に比例する」というケプラーの第3法則と呼ばれるものを独自に理解していたと言われています。この難しそうな法則はニュートンの万有引力へとつながっていくという、現代物理学の大発見で、日本天文学史上最大級の快挙だそうです。
死後、彼の偉業は国際天文学連合によって、月のクレーターに「ASADA」と命名されたことで一部報われました。
この麻田に関連した本を探していたのですが、一般書籍も専門書もアマゾンでは入手不可能でした。古書に当たるしかないのかと思っていたのですが、偶然にも本書の中に江戸時代の偉人として紹介されていました。
うれしいことに麻田剛立に、一番多くのページを割いていました。ここには麻田の女性関係まで触れていて、彼の新しい魅力(笑)に接する思いがしました。
麻田の他には、三浦梅園、大原幽学 など5人が取り上げられ、副題は『 世界を超えた江戸の偉人たち』 となっています。いずれ劣らず魅力的で、各人の特徴的なエピソードなどは、会話なども挿入されていて、読みやすくなっています。
気に入った人物を取り上げて、夏休みに自由研究をしてみたらどうでしょうか。
和魂和才―世界を超えた江戸の偉人たちPHP研究所詳 細 |
http://tokkun.net/jump.htm
『和魂和才』 童門冬ニ
PHP研究書:238P:1575円
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堂門氏のみですか?すごいですね。私はすぐにあちらこちらに目移りしてしまいますから、落ち着かないブログだなと自分でも感じております(笑)。これからもよろしくお願い申し上げます。