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本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『痛快!ローマ学』塩野七生

2006年07月12日 | 歴史
 
イタリアの優勝で幕を閉じたワールドカップ。やはり鉄壁の守備は健在で、“歴史のあるチーム”の強さが印象的でした。

先にご紹介した、『 君主論 』のマキャベリに関する著作や、全15巻の『ローマ人の物語』 など、魅力的な著作がたくさんある、塩野七生氏もサッカーファンだとは知りませんでした。本書は通常の氏の本とは、かなり趣が異なるつくりです。

私も知らずにネットで購入したのですが、B5サイズの大型です。美しい風景、迫力のある歴代の英雄などの写真などがふんだんに使われ、すぐにでもローマに行きたくなるような魅力的な本です。人によっては、ローマ人の物語15巻分をぐっと凝縮した本、と形容しています。

古代ギリシアの模倣といわれたローマ帝国が、模倣だけで1000年も続くのかという、10代のころの疑問を、半世紀たった今でも追い続けていると、塩野氏は語っています。

なぜローマ、特にローマの男たちにそれほど惹かれるのか、それを思うままに語った本です。歴史書というより、歴史やローマの魅力をわかりやすく解説した本です。私のような歴史を知らない人間にはうってつけの入門書ではないでしょうか。 

そしてローマ史から見た今の日本を語ります。偉大な作家や歴史家が語る現在というのはいつも洞察に富み、新しい視点を与えてくれます。歴史から学べとよく言われますが、本書では随所にそういうエッセー風の記述があり、本書の魅力の一つです。

最後には、ギリシア・ローマの英雄たちで、サッカーのドリームチームまで作って“遊んで”います。イタリアにいれば嫌でもサッカー通になるのだそうです。

塩野監督の攻撃型チームのツートップは、破壊力抜群のハンニバルとアレクサンダー大王、守備方チームでは司令塔にカエサル、ツートップはアントニウスとダキアだそうです(笑)。

旅行ガイドブックのような構成で、勉強にもなり、大変楽しませてくれる一冊です。



http://tokkun.net/jump.htm
痛快!ローマ学

集英社インターナショナル

詳  細


『痛快!ローマ学』塩野七生
集英社インターナショナル:219P:1785円


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『昭和史』半藤一利

2006年06月01日 | 歴史
敬愛する tani先輩が、ご自分のブログ『狸便乱亭ノート』 で、私の紹介した『ユダヤ人とローマ帝国』(大沢武男著)の冒頭部分を取り上げていただき、記事内で本書『昭和史』 をご紹介されておりました。

また、やはり同様に、いつも励ましてくださる、優しい友人、buckyさんも、『40代真面目気分』のブログで書いておられました。私も以前に読みましたので、記事にしてみたいと思います。

昭和史に関して我々は、時間的な制約もあり、学校ではなかなか習うことがありません。ただ、時間の問題ばかりではないのです。以前ご紹介した『転落の歴史に何を見るか』(齋藤健著)でもあったように、どうも学校で教わった歴史と現実とは違いそうだと大人になって知ります。

ご存知でしょうか。中学の教科書は8社あるのですが、そのうち昭和天皇を載せているのは3つだけです。天皇を論ずる以前に、そもそも昭和天皇抜きの昭和史は成り立つでしょうか?

天皇抜きの昭和史では、どうやって日本が戦争へ突き進んだか、2.26事件や、戦後処理の問題などもまったく理解できず、まるで東京裁判のA級戦犯たちだけが戦争を引き起こした印象になってしまわないでしょうか。昭和史や戦争がよくわからない大人世代がすでにいるのももっともなんです。

本書はその昭和史がわからないという若い編集者たち4・5人に懇願されて開いた“寺子屋”を元にし、あとがきで述べられているように、“ずさん極まりないおしゃべり” が一冊の立派な本になったそうです(笑)。

昭和初期の入門書のようで、細かな分析はしないのですが、流れを大切にし、口語体で読みやすいのが良く売れた理由でしょうか。本書が発売された時は、かなり話題になり、新聞各紙が絶賛したそうですね。

私は、半藤氏の作品は、不朽の名作だと思う『聖断』 や『真珠湾の日』 をはじめいくつか読んでおりまして、その緻密な分析態度に魅力を感じていました。また本書の重厚感のある装丁、さらに書名から、いよいよ、司馬遼太郎ができなかった“昭和のそうまとめだ” と意気込んで読んだのですが、正直、これまでとの作品と違い過ぎて、やや期待はずれでした。

詳しくは、~を参照、と省かれてしまっていたり、話し言葉ゆえ、緻密な分析というのではなく、“残念だ” とか“始末におえない首相” “情けないお話でした” “アホらしい会話” などという主観がどうしても気になってしまいます。(大変評判が良い本に、注文をつけるのには勇気がいるのです(笑)。)小説かドキュメンタリー風に書いて欲しかったと強く思います。

ただし、他書を愛読しており、半藤ファンですから、見解には賛成し、敬意を払うのにやぶさかではありません。そして本書で一番記憶に残った一文は、うれしいことに、tani先輩が引用されました。

『よく「歴史に学べ」といわれます。たしかに、きちんと読めば、歴史は将来にたいへん大きな教訓を投げかけてくれます。反省の材料を提供してくれるし、あるいは日本人の精神構造の欠点もまたしっかりと示してくれます。同じような過ちを繰り返させまいということが学べるわけです、」ただしそれは、私たちが「それを正しく、きちんと学べば」、という条件のもとです。その意思がなければ、歴史はほとんど何も語ってくれません。』

反省、欠点、過ちという言葉ばかりが目立っているようですが、これは本書が“昭和史”と書いてあっても、悲惨な戦争のみを描いたからに他ならず、自虐的な本ではありません。


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昭和史 1926-1945

平凡社

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『ユダヤ人とローマ帝国』大沢武男

2006年05月29日 | 歴史


先日、ある生徒が、『昭和天皇とヒトラーてさぁ、どうして~』と話し始めました。相変わらず、学校で、天皇とヒトラーを同列に教えているかと思うとぞっとします。

確かに、欧米の知識人と呼ばれる人々にも、そういう捕らえ方をする人がいます。親日派と呼ばれる人たちでさえそうです。『日はまた昇る』のビルエモット氏もその一人でしょう。外国人のご愛嬌といえばそれまでですが、明らかに昭和史に関しては理解不足と申し上げなければなりません。(『聖断』 を参考にしてください)

さて、ではヒトラーの方です。私が、なにかにつけ、生徒たちによくいうのは『“良い”とか“悪い”とかで思考を止めてはダメ!なぜそうなったのかを良く考えたり、調べたりする』 ということです。

“戦争は悪い”。では、“なぜ世界中から無くならないのか”
“自殺は悪い”。では、“なぜ日本では年に3万人も自殺をするのか”
“塾は悪い”。では、“なぜこの先生は存在しているのか”(笑)などなどです。哲学ですね!

ホロコーストを肯定する人はいないでしょうが、ではなぜユダヤ人がそこまで迫害されたのか。生徒の頭の中では、ヒトラー一人が大悪人になっていますが、たった一人でできるわけがない。もちろん国中が賛成し、協力したはずです。

ユダヤ人はこれまで太古の昔から数え切れないほど、さまざまな差別や虐殺を受けてきた民族です。また、一方では、世界の人口の1%未満しかいないのに、ノーベル賞の20%をユダヤ人といわれる人々が受賞していて、飛びぬけて優秀な民族とも言われます。

【超有名、ユダヤ人】 は、ちょっと考えただけでも、キリスト、アインシュタイン、チャップリン、マルクス、フロイト、シャガール、カフカ、チョムスキー、まだまだいくらでもいます。

日露戦争で日本を援助してくれたのは、ユダヤ人だとか、現アメリカ政権には7人ものユダヤ系大臣が入っているとか、世界の金融、メディアはすべてユダヤ人が握っているとか、にわかには信じられないようなこともよく言われます。

その歴史的な背景を、本書は極めて分かりやすく解説しています。ユダヤ人とローマ帝国との関係を中心に書かれているのですが、やはり預言者キリストの誕生、そしてその死によって、大きく運命が動かされる様が中心に描かれています。

ローマ皇帝によって保護されたり、敵視されたりし、破壊や虐殺を受けながらも、時に妥協し、時に最後まで戦いながら、信仰を守ろうというユダヤ人勢力はたくさんいました。彼らとキリスト教との関係や、なぜ迫害を受けるのか、丁寧に説明してくれます。興味のある方にはぜひお薦めしたい一冊です。


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ユダヤ人とローマ帝国

講談社

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『聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利

2006年04月28日 | 歴史

言うまでもなく“4月29日”はかつて『天皇誕生日』で、今の『みどりの日』は来年から『昭和の日』。すでに平成も18年を数え、高校生以下から昭和生まれが消えつつあると思うと、当然とはいえ、感慨深いものがあります。

そこで、昭和天皇と鈴木貫太郎首相、この二人に焦点を当てた感動の一冊をご紹介します。どのように国として太平洋戦争を戦い、終戦に導いたかを描きます。

昭和天皇は立憲君主制度のもとで国民の安寧と平和を愛する優しき国家元首という側面と、ヒトラーと並び称されるほどの非道な戦う大元帥という矛盾したとらえ方があります。もちろん後者は明らかな誤りですが、中韓の政治家だけでなく、『日はまた昇る』の著者、知日家であろうビルエモット氏さえ勘違いしているふしがあります。世界で一番有名な日本人といえば、イチローでもコイズミでもなく、何といっても『ヒロヒト』、ですが理解のされ方が問題ですね。

一方、鈴木貫太郎も海軍の英雄でありながら、日米開戦反対の大演説をぶち上げました。2.26事件の標的となったことからもわかるように侍従長としてひたすら平和を望んでいた姿と、一方で、終戦間際には首相として、沖縄陥落後も本土決戦辞さずの固い意志を持つ徹底抗戦派。一見相容れない二つの人格が存在します。本書はその実像に迫ります。 

天皇と鈴木の二人が日露戦争後から第二次大戦後まで、天皇を利用しようとする陸軍や右翼の強硬派、国民の好戦的雰囲気、欧米列強の圧力の中で、命がけで国を守ろうとする姿に感動します。特に鈴木は2.26だけでなく何度も生命の危機を潜り抜け、見事な手腕で終戦へ向けてのレールをひきました。 

海軍大将になり、連合艦隊指令長官にまで登りつめたあと、すでに引退していた鈴木は、天皇のたってのご要望で侍従長となります。そこでお仕えしている間に『現人神』天皇の人間性、苦悩を知り、国家のために誠心誠意、戦線拡大を防ぐよう努めますが、2.26事件で銃弾に倒れます。一命は取りとめたものの、ついに歴史の表舞台から完全に姿を消したかに見えました。

ところが歳70を超え、耳も遠くなり、戦局必敗の情勢になってから総理に担ぎ出されてしまいます。その後、この老宰相の命がけの活躍は特に心を打ちます。しかし原爆投下、直後のロシア参戦、そしてついに8月15日の玉音放送。涙が出そうになりました。私にとっての不朽の名作です。

『殉死』をご紹介した折に、司馬遼太郎氏に昭和史を書いて欲しかったと述べたのですが、それを司馬氏の跡を継ぐかのように活躍されているのが、半藤一利氏ですね。実際にお二人はかなり交流があったようです。


聖断―昭和天皇と鈴木貫太郎

PHP研究所

詳細

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『聖断』半藤一利
PHP研究所:397p:1785円

『殉死』 司馬遼太郎

2006年04月27日 | 歴史

司馬遼太郎氏の作品は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』など、数多くの長編歴史小説がありますが、本書はわずか170ページほどの作品です。しかし人物評伝としてはきわめて優れた作品だと思います。

乃木希典-日露戦争の英雄、『軍神』とされた将軍で、学習院院長、明治天皇の崩御に殉じ妻とともに自殺。当時、日本人の鏡とされ、本書は日本中の国民が涙したといわれるその英雄の死を描いているのですが、そこに至る一人の人間の歪んだ美意識、将軍としての無能ぶりを痛烈に暴いた評伝です。

『坂の上の雲』の秋山兄弟が、主人公であるにもかかわらず、小説の後半で非常に影が薄くなるのは、その戦争ではどうしても乃木を描かなければならず、更にその勝利へとあらすじを展開するためには、軍神・乃木の影に実は真の英雄、別の天才(児玉源太郎など)の活躍があったことを描写しなければつじつまが合わなくなってしまう、その結果ともいえないでしょうか。

そこでもまだ書ききれていない乃木に関する部分を書き直したのが本書です。司馬氏は一冊の小説を書くのにトラック一台分の資料を調べ上げるといわれます。読み進めるにつれて、その膨大な研究量に裏打ちされた壮大なる想像、構想力に引き込まれていかざるをえません。

本書においては極力虚構を廃し、与えられた事実の範囲内で思考を確かめていくという手法をとっています。氏も本書の中で“小説というより筆者のおぼえがき”と述べています。歴史小説家が素材を入念に調べ上げ、作品にしていく過程が読者にも分かるような気にさせてくれる非常に興味深い一作です。

乃木将軍に対しては日本人ばかりか従軍記者も含む海外からも多くの賞賛が集まっているにもかかわらず、また司馬氏は本書の中で自分は中立といっているにもかかわらず、ところどころに辛らつな表現があります。それは、その後司馬氏自身がその愚かな軍部、政府によって戦争にかり出された経験があるためなのか、また幼少のころ乃木将軍の賛歌を歌わされていた氏の教育界に対する批判、警告なのか?

憂国の士である司馬氏にとって“乃木希典=英雄”という歴史的清算だけは許せない。調べていけばいくほど、どれほど彼のために犠牲になった命が多いことか明らかになる。戦争史上最悪の犠牲者を出しながら、世界中から、強国ロシアを破った将軍ということで賞賛を浴びていたことに我慢ならなかったのでしょうか。

私の祖母はもう二十年ほど前に亡くなっておりますが、実際にいつも乃木将軍を崇めていたのを記憶しております。本書を読んだら悲しむでしょう。また、今は逆に、映画『203高地』や、司馬氏の影響力が強すぎて乃木=無能という考え方が定着しつつあり、そのことに対する反論もありますね。

いずれにせよ、このように丹念で鋭敏な観察眼で第二次世界大戦や昭和天皇についても考察して欲しかったと思います。

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殉死

文藝春秋

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『靖国問題の原点』三土修平

2006年04月11日 | 歴史
 
中国側からは首相の靖国参拝中止が、首脳会談の条件のようにも伝えられました。

問題がどんどん大きくなってしまいますが、本書は、評論家の宮崎哲弥氏が、多くの靖国問題を扱っている書物の中で本書が最も読む価値があるというような主旨のことを言っていたので、読んでみました。

なるほど、そう推薦するだけあって、かなりの力作です。エッセーというより論文ですね。筆者が1946年当時の内務大臣三土忠造の孫にあたるそうで、どうしてもこの問題を整理したかったようです。

ここまで問題がこじれてしまっているいきさつが、時系列を追って丁寧に解説されます。各訴訟などの論点も整理しています。結局、政教分離で反対派が責めてもダメ、賛成派の主張にも無理がある。不毛な議論に終始している原因が靖国神社自身にかなりあるという分析です。

詳しい経緯は本書をお読みになっていただきたいのですが、GHQとしては日本の軍国主義を根絶するために、その象徴になるようなものは潰したかったが、政府としては戦没者を慰霊するものとして、戦後も残したかった。そこでGHQを懐柔し、靖国は公のものではないものとして生き残らせたが、占領を終えると、再び、まるで公の性質を持つがごとく、政治的に天皇の為の死をたたえ、A級戦犯をたたえるような神社に戻してしまったというのです。政府は飼い犬に手をかまれたようなもんだと。

伊勢神宮や全国にある護国神社の類はどんどん性質を変えて、平和な時代にふさわしいものになっているが、靖国はまるで大昔から生き残っているシーラカンスのような状態だという意見です。筆者は首相参拝はやめた方が良いという意見です。

中国がこういう姿勢であれば、日本はますます引けないでしょうし、小沢氏が取り上げれば、大きくマスコミで報じられてしまいます。一民間宗教団体に政府は手も出せず、いまだ解決の糸口は見えませんし、日本の世論が割れれば中国の思うツボだという指摘もあります。

筆者は何十年もかかってこじれたのだから、落ち着くのに何十年もかかると述べており、首相が参拝をやめる以外の解決策は提示されませんでした。その点でやや不満が残りました。

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靖国問題の原点

日本評論社

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『魂の昭和史』 福田和也

2006年04月06日 | 歴史

大人が読んでも耐えられるようにしつつ、高校生くらいを念頭において日本の歴史、および歴史学習の意味を語り口調で書いたものです。どこにも歴史好きという生徒がいます。そういう人はみんな、歴史を苦労して暗記するのではなく、そのストーリーにロマンを感じているようです。

福田氏の主張は、歴史を小説のように感じるロマンから、さらに現代の自分たちに直接関わる問題だと感じて欲しいというもののようです。本書の副題は『震えるような共感、それが歴史だ』です。

筆者は物事をはっきり主張するタイプだと考えておりましたが、本書の主眼は若者に考える材料を提供しようというもので、自分の意見は控えめにした非常に静かな語り口、冷静な内容です。

江戸時代に花開いた文化から、ペリーはなぜ開国を迫ったのか、日清、日露戦争時の背景、第一次世界大戦の影響、そして第二次大戦へと進む過程までが分かりやすく書かれています。また、日本はなぜ嫌われるのか、ということについても考察を加えます。

バブル以降の現状、若者が「人に迷惑をかけないんだから売春したっていいじゃない」という時、著者は『真正面から反論できないが、そういうことが言えるような社会になるためには、とてつもない先人の蓄積があるんだということを認識して欲しい』と答えます。援交OKの宮台真司氏とは考えが違うわけですね。

歴史とは自分を過去の流れの中で感じることであり、そうであればそんな意見も出てこないであろうということです。高校生以上の諸君に読んでもらいたい一冊です。

すべての日本人に感じてほしい魂の昭和史

小学館

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『魂の昭和史』福田和也
PHPソフトウェアクラブ:270p:1500円

『世界地図から歴史を読む方法』 武光誠

2006年03月13日 | 歴史



世界史の勉強に欠かせない歴史地図。
資料集などをよ~く眺めると良いと言われますが、実際はかさばってなかなか持ち歩くのが億劫なもの。
本書は文庫本サイズで、しかも467円という値段、ページ数も200ページ程度なのでかなり楽に読めました。
テーマ別(特に複雑な民族問題の背景にあるような歴史)に歴史地図を解説、とてもわかりやすかったです。内容も細かすぎず、お薦めです。 

 

世界地図から歴史を読む方法 2

河出書房新社

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『世界史は日本史をどう記してきたか』河合敦

2006年03月12日 | 歴史
日本史の授業の中で、脈絡が不明なまま、いきなり遣隋使や遣唐使が出てきたり、よくわからないまま秀吉が朝鮮に兵を出したり、どういうわけか突然鉄砲が伝わってきます。(わからないのは私が悪いのですが)

ペリーあたりから日本史に外国が頻繁に出てきて、世界大戦まで世界と同じ空間で語られるような印象です。

本書は世界史が日本史にどう影響を与えてきたかを見ます。実におもしろい一冊でした。古代から昭和に至るまで、取り上げられているエピソードはどれも知的好奇心を満たしてくれると思います。

私は、どうしても日本史というと“鎖国”のイメージが強すぎて、日本史=国内問題と考えてしまいがちでしたが、本書を読んで考えを改めました。

世界史は日本史をどう記してきたか

青春出版社

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『エリザベス1世~大英帝国の幕開け~』

2006年03月07日 | 歴史

歴史は結構好きなんですが、最近は新書ものが読み応えがあって良いです。本書は講談社現代新書です。

著者は青木道彦さんという人で、都立高校や河合塾などで教えた経験がある大学の先生です。内容も面白いのですが、「語って聞かせる」部分がとても面白く、参考になりました。

さて、本書でとり上げたエリザベス1世は、イギリス国教会制度を立ち上げたヘンリ8世の娘で、様々なエピソードに彩られています。ブラッディ=メアリとの確執、スペイン王フェリーペ2世との駆け引き、ウォルター=ローリーとの恋、メアリ=スチュアートの処刑などなど。

本書を読んでみて毅然としたリーダーのイメージは変わりませんでしたが、国民に愛されている女王という新しい顔が垣間見えました。

じっくり読むのにお薦めです。

エリザベス一世―大英帝国の幕あけ

講談社

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『現代史の対決』秦郁彦

2006年02月06日 | 歴史
本書は文庫本で、その帯には、
『歴史をむしばむ「愉快犯」に鉄槌!』
とあり、思わず手にしました。


本書で取り上げている内容は
靖国問題、慰安婦、教科書問題、南京事件
などから夫婦別姓論、外務省(チャイナスクール)
改革など多岐に渡って取り上げています。


筆者は資料を徹底して読み解き、
分析しており、大変説得力があります。
その内容はとても細かく、
私には十分に理解できなかった部分が
多くありましたが、
反日運動家や左翼系の歴史家などが
自らのイデオロギーのために、
いかに歴史的事実を歪曲されてきたか、
都合よく解釈してきたのかはよく分かります。


きっと歴史に詳しい方なら
より面白く読んでいただけると思います。
現代史の対決

文藝春秋

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