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子どもは全員、学校に行くべきか?

2014年10月22日 | TICO ザンビア

ザンビア事務所 瀬戸口です。

日本は台風が大変だったようですね。
こちらは16日の夜半、最初の雨が降り、少し暑さが和らいだような気がします。




さて、今回は固めのタイトルになりました。

みなさん、
学校教育の価値って何なんでしょう?


当たり前のように「学校に行くことは大切だ」という価値観が流布していますが、
本当に「大切」なんでしょうか?

どう「大切」なんでしょうか?


ここザンビアでは教育を12年生(日本の高校3年生)まで修めることが町で就職するための必須条件。
TICO奨学金事業で支援している学生たちも、口をそろえて「12年生を卒業したい」と言います。



先日、徳島大学の学生さんが当事業地を訪れた際に、ホームステイ先のお父さんとこのようなやりとりがあったそうです。

学生:村の生活でいいところってなに??

お父さん:私は学校に行ったことがないけど、それでも村では食べていけるし、
     子どもたちも育て上げることができるから、そこがいいところだね。





また先日、放課後も学校の周りをうろうろしている子どもたちを見かけたとき、
私と一緒にいた村の人の発言。


村人:あの子どもたちは、家の仕事を手伝いたくないから、ああやってすぐに家に帰らず遊んでるんだよ。

瀬戸口:うーん、まあ村の家の仕事は重労働だもんねぇ、、気持ちは分かるなぁ。

村人:だから帰りたがらないんだ。でも、子どもは家の手伝いをしないとね。



またまた先日、私が村の人たちと話していた時のやりとり。

話のきっかけは忘れてしまいましたが


村人1(以下、1):俺は、子どものうち2人は学校に行かせずに手元に置いておくんだ。

村人2(以下、2):そうだよな、全員行かせている家は大変だからな。

瀬戸口(以下、せ):どういうこと?

2:だって、全員、学校に行かせてしまったら、誰も子どもは家に戻ってこないじゃないか。

1:それに家のことを出来る子どもがいないと、自分が歳を取った時に誰も家事や農業ができなくなる。

せ:日本でもそれは同じだね。いま、農村は高齢化が進んでて、農業やってる若い人はほんと少ないよ。

1:そうだろ?だから、俺は将来のことを考えて、子どもを家にキープしておくんだよ。

2:老後を安泰に過ごすために、事前に投資しておくことが大事だよな。

せ:投資って他に何があるの?どうやるの??

・・・・以下略。


もちろん、上の村人1,2だって文字が読めるようになること、
計算が出来るようになることの価値を否定しているわけではありません。

しかし、学校に通うことで得るものがある一方で、「生活の知恵」など失われるものがあります。

それはいまの現代日本を見れば自明で、伝統的な生活様式の良さや先人たちの知恵を見直す動き、
iターン、Uターンで就農する若者たちが増えているのはその反動のように思えます。
あるいはフリースクールなど、いわゆる「学校」にとらわれない学校も増えているようですね。



去年から、当会と同じく徳島県に居を置く鳴門教育大学との連携事業もスタートしているのですが、
*会報36号の7ページをご参照ください*
その先生方との議論に上がった「教育の価値」とはすなわち
思考力」を身につけることである、というお話でした。


ザンビアの教育(日本も多かれ少なかれそうですが)は、就職のための教育、になってしまっている。
また、知識や読み書き計算といった技能を身につけるための教育になってしまっている。

しかし教育とは、それらの知識や技能を身につける中で、論理的にものを考える力、といった思考力を身につけることを
目指して行われるべきである、と。


この思考力は、都会に住んでいようが、農村に住んでいようが、
どのような環境でも生き抜いていくために必要な力であると。



うーん、なるほど。
さすがにプロは言うことが違う。



どうやったら思考力は身につくのか????
というテーマも現在実施している母子保健事業との関係で議論したのですが、
それはまた次の機会ということで。


TICOも学校建てたり、いろいろ支援してますが、
物事を一面で判断してはいけないというのが、私の改めての学びでした。


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)