気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

引き潮で船が遠くへ     セブ島で本当にあった話

2015-03-14 00:09:34 | 小さな旅日記

 早春の南の島、ホテルに迎えに来たバスの中で日本人のガイドが、面白可笑しく観光の楽しいムードを盛り上げていた。

     「ここで火事になったら、まずお金がなかったら全焼ですね」

と、言いだすと、乗り合わせた者は怪訝そうな表情をした。

電話口で・・・

     「いくら払う?」

払わないと、消防車の駆けつける時間が遅くなると言う話。冗談話にせよ大同小異違わないだろうと思った。

 今日は旅の目玉の「離れ小島での海鮮バーベキュー」だ。浅瀬に船の船首を突っ込み、器材を持ち込んだ。見渡すと島は小さな小屋を島の中心に、そして椰子の木が数本あるしか何もない無人島である。見渡せるだけか? 何もなく、することも何もない無人島。ただ食べるのみ。焦げ付く様に暑い陽ざしを遮るものもなく、人間もバーベキューだ。

気がつくと、引き潮で島を囲む砂地が遠浅に広がり、船は座礁を避けるのか、商売上手なのか遠くに島から遠ざかって停泊していた。現地のガイドが

     「船に乗ってください~」

どう見ても泳がないと足が届かなさそうだ。私は泳ぎは得意ではない。気が付くと傍に男が立っていた。

     「Piso150 、カヌーであそこまで運ぶよ~」

たどたどしい日本語で寄って来た。カヌまでも離れている。そこまでは背負っていくとのこと。

     「Piso100 だ!」「分かった。良いよ」

カヌーに乗ると「Piso150だよ」と言いだした。競りの戦いだ。

「No! Piso100 」、「OK 」やっと、無事に船に戻れた。

 遠ざかる小島を見ながら、一昨夕の入国審査場を思い起こした。床に木箱が置かれ天井に裸電球が一灯点り、周りには金網が張り巡らされている。薄暗い中で眼だけがひかり、金網に黒い指が覗いている。異様な雰囲気を感じた。そして、消防車の話が少しばかり信じられる気がした。いまでは近代的なリゾート空港になっているとのこと。(ペナン)

南の島では空は何処までも澄み渡り、素朴で明るい人柄、そして全てを忘れさせて呉れる何かがある。そこが好きだ。よく行ったな~。

終わり


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