気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

想い出の引き出しに仕舞う年賀はがき22枚

2016-12-28 20:51:09 | エッセイ

今年もあと数日で終え、平成29年を迎える。

平成元年は何処で迎えたのかと壁に架かるカレンダーを見ながら瞑想した。    単身赴任をして数年たった頃だった。いまのような、よたよた爺さんと違いバリバリの現役だった。 自室の机の上には刷り上がった年賀はがきがある。 傍らに頂いた賀状が束になっておいてある。 一枚一枚めくりながら自筆で書き添えてある近況をまた改めて読むのが懐かしく、読み終えてから宛名を書くのだ。 楽しいものだ。 コラム欄を読んでいるようである。

 そんな訳ではないが、自然と自分の年賀はがきの文面は自分好みの一年の日記風になってしまった。 何時しか気づけば22年も続けている。

 これまでは季節ごとに移り行く楽しさと新しい発見があった。 しかし、傘寿を迎えて数年が過ぎ、何時しか変化のない穏やかな生活になっていた。 

 時折、はがきを読み孫たちの成長の過程を想い知ったりと記憶のスイッチになっている場合もあった。

 ようやく、ひとりで楽しんだ年賀はがきだったと気がついた。              そろそろこのはがきも終わりに近づいてきたようだ。 

 21枚のはがきの控えは大事に想い出の引き出しに仕舞ってある。 来年の1枚を加えて22枚22年分の想い出と共に・・・。

終わり

 


手を貸さなかった一瞬の悔い・・・

2016-12-19 21:51:55 | エッセイ

 今日、医者の梯子をして疲れてバス停に向かった時のこと・・・。

 夕暮れが速く迫る頃、私は杖を突きつき広い歩道を歩いていると手動の障碍者の車椅子と擦れちがおうとした。 乗り手は若い女性だ。 この寒い季節に腕まくりをして慣れぬ手でサイドの輪を回すのに必死でいた。車はほとんど動かない。そこは緩いスロープになっているのだ。一瞬彼女と目が合った。何か照れるような表情をした。 

 とっさに、手を貸そうと言う衝動にかられた。でも、足の悪い杖を突いた傘寿を超えたよぼよぼの爺さんがよぼよぼと押し出しだしたら、むしろ迷惑でないかと躊躇した。夕刻の5時。 人の流れは多い。 誰も関心がない。 

 そこにバス停にバスがきた。 次は15後だな・・・。 そうこうしているうちに何とか15m先までに動いていた。 腕まくりの汗で風邪引かんかと余計な心配をしてバスに乘った。

 この時,何故大きな声を出すか、それともゼスチャーとして押してみるなどしなかったのかと家に辿り着いて悔やんだ。 彼女は無事に家に辿りついたろうか。  気になってしょうがない。

終わり


ぶらりと歩いたひと時・・・

2016-12-14 23:28:49 | エッセイ

 またまた三軒茶屋にきました。 きょうで5回目の治療に・・・。治療効果の方は今ところ感じない。 ・・が,昼食探しの方には好奇心をたぎらせている。コメントにある青年の如くに・・。実態は、杖を突きつきのため行動範囲が狭く、なかなかこれはと眼を見張る店は見当たらない。最初に覗いたところに再訪してみた。

 その店は 客席が6席しかなく、全てカウンターで海鮮丼オンリーの店だ。まず、ユニークなのは、自動販売機で食券を買うこと。次に、客の背が入口のスライドのドアにつかんばかりだ。人は通れない。 移動は外へ一旦出て入る。入口が6席フルオープンになっている訳だ。しかも味付けも秘密があり好奇をそそる仕組みときた。店主は若い夫婦で実に爽やかだ。これだけでも旨み充分だ。 外を見ると待ち人が7人と人気の店のようだ。納得できた。 こんなに狭いと言うか、小さいというか、いや~。爽やかな笑顔のある店というのが正解かな。 

 爽やかな気分に浸ったまま、歩きの癒しに珈琲店の重い扉を引いて中に入った。 客は2人しかいない。街の喧噪な音を遮断した空間だ。 還暦はとうに過ぎたであろうマスターが「お待たせしました」と運ぶホットコーヒーを口にした。

 正面にマイセンのカップが見える。整然と並べてある。 よくよくみると、カップの数が100個もあるには驚いた。この間は40個と推定したが誤り・・。 客席はと・・数えると23席しかない。暇だな~。  開店して40年とのこと。 やはり、風格がある。 

雨が降る前に急いで自宅に戻った楽しいひと時でした。 

終わり 


ひと皮むけた爺ちゃんになった一日

2016-12-08 16:37:38 | エッセイ

 ここ2週間ほどブログと離れている。 この頃、どう言う訳か眼が霞、字が読み憎く、書く気がしない。困ったものだ。  

 この日は、あの好天気に恵まれたものの朝から風の強かった日のことである。  朝から体調がすこぶる良い。 今日はちょっと遠いが、あの「昭和の薫りが残る喫茶店」のある街に行く日だ。 我が家と離れた街に行く日が週に一回でき楽しみが増えた。 狙い目は昼飯だ。

 珍しく忘れずにショルダーバックにデジカメを入れて家をでた。 何のために・・・。 言うまでもなくブログへの投稿の故である。 ただ、行くだけではつまらない。無駄は避けたい。昔の若い頃の様に杖を突いている爺爺だが探そう。 期待を込めて10時12分発の急行に乗った。 たった15分で三軒茶屋に着いた。 

 用は正午過ぎに終えた。 頭の中で、その後の計画では、まず腹を満足させて、そして、その歩き疲れを癒しにあの喫茶店で「あのホット!」を・・・。と期待しながら歩道をゆっくりと歩きだした。

 まず道路の向かい側に餃子専門店の看板ガ・・だが、覗いてみたがスタンドだ。ちょい~無理。薦められたパンやは孫娘の喜びそうな店‥で、爺向きでなく駄目だ。 左折をして離れに或る世田谷線の始発駅前に出た。 何十年振りの訪れかな~。 街中の広い道路幅いっぱいの大きな黄色と黒の遮断機が降り始め、警報機が鳴り始めた。 数年前にアメリカのS.F BayAreaのオークランドで,この4倍ほどスケールの大きいAmtruckが食事をしているテーブルの脇を通り抜けていった光景と重なり懐かしく想いだした。 

 早く何処かで昼食にありつかねば帰りが遅くなる。 「随分、若者の街に変わったものだな~・・」と呟いていると、「いかがですか・・」と店主が呼び込みをかけてきた。「何があるの・・」「パスタが・・・」と・・・小さな店なので、つい「どこに座るの・・」無失礼なことを聞いた。 「店の奥に・・」言われるままに店内に入るとクランク状に席が20席ほどある狭い店だ。 ここに決めて珈琲つきのパスターセットを頼む。

 手を紙ナフキンで手を拭きながら辺りを見回した。 女子会ばかりだ。 中年の女子会一組を除けば若い女子会ばかり。 男性が私一人には驚いた。壁の上段には所狭しと酒瓶が並んでいる。地震で落下しないのか…よく見ると透明のプラスチック板で囲ってあるようだ。

 サラダそしてパスタと運ばれてきた。 旨かった。更に、珈琲も旨かった。あの珈琲店は次回に伸ばそう。 帰り際に、店主が「夜にはバーになります。是非に…」とセールストーク。外にでてウインドショピングしながら強い風に帽子を飛ばされない様に杖を持たぬ手で押え、疲れると手を持ち変えて歩いた。 久しぶりに一皮剝けたあか抜けた爺さんになった気分になり我が家に戻った。

おわり