気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

古い日記から想い出を探そう   3

2015-12-10 23:34:33 | エッセイ

膝関節のリハビリを始めて数週間が過ぎた。

杖も買い求め歩き方の練習も始めた。 

 リハビリを終え、駅にあるPaulで珈琲を飲んで一休みをしようと店内を覗いた。 時間は4時ごろだった。 満席である。 何気なく顔を眺めた。 全員60過ぎのお婆ちゃん軍団の女子会には驚いた。 爺はひとりもいない。 夕食時間前が女子会の時間なのか、出て来ては三々五々に別れ電車、地下鉄そしてバスと散っていった。 

 そう言えば、つい先日我々がやった男子会は1時である。 待ち合わせの改札口前には同じ男子グループが4組はいた。 互いに、照れ悪そうな顔で移動していった。 

 老人パワーをみた。 しかも、爺婆の時間に違いがあるものなのかと・・。   後10年もすれば街中でのすれ違うは爺婆しかいないのか・・と思ったりした。

 次のバス停が見える距離間隔に停留所がある。 2つ目で降りる。 しかも老人優待パスだ。 珈琲をあきらめバスに乗った。 桜通りバス停を降り、並木の下を郵貯の「一行日記」は何処へ訪ねた時なのかと思いめぐらせながら杖をつきつき帰った。

 07/04/05 静岡県湯ヶ島郵便局 「旅館落合楼に泊まる。天城越えの時代に戻る。若い局員が親切に局名判も押して呉れた。」と記してある。 

 渡り廊下を渡って離れ客間に通された。 せせらぎの音しか聴こえない。 昔の儘の木造の旅館だ。心が鎮まる。 川端康成著「伊豆の踊り子」の世界に浸る。翌朝、陽の浅い山道を走る途中、見落としかねない林の中に建つ郵便局を見つけた。車を止めて印をもらう。 森林浴をした清々しい天城峠だった。

 07/06/05  松本宮淵簡易郵便局  「同期A君と久し振りに会い、友好を温めた。 赤煉瓦造りのミニミニ局はこれまでの中で最小の局だ。」と記してある。

車を借り、ひとりで上高地の乗り入れ規制のところまで走った。初めての経験だ。戻れるかが心配だ。 美術館、博物館などは多いが再訪することにした。果たせた。

 07/06/05  穂高郵便局 (これから向かう上高地には局がない) 「友人ご夫妻と上高地を訪ね梓川の清流に耳を傾け、河童橋から中部連峰を望んだ」と記してある。

  その夜、上高地のホテルのレストランで誕生日を迎えた老人に各席から拍手が沸いた。返礼に一杯のリキュールが配られ心憎い気遣いに山のホテルの温もりを感じた。翌日、穂高が生んだ彫刻家萩原碌山の碌山美術館を18年ぶりに訪れた。 古民家での囲炉裏を囲んでの郷土料理に舌鼓をうつ。 友との語らいは実にいいものだ。 

短い行間に、ここまで想い起こせた晩でした。