気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

親切が仇になった話

2015-12-05 20:58:44 | 日記

 夕食を終え、妻と何時もの通り会話を楽しんでいた。

この頃、歳の差に応じて忘れものが酷くなったり、理解力が落ちたとか老いゆく不安が話題になった。そう言えばこんなことがあったねと昔話になった。

 昔、母の介護をしての帰り、自由が丘駅で青年に道順を尋ねられた。       二子玉川方面の大井町線のホームにいた。 永い単身赴任を終え、退職して間もない頃であった。 10数年も電車での利用はない。 久方振りであった。

  「おやまだい、はこちらでよろしいのですか。」

とっさに、頭の中の回路は「小山台」に繫がった。

  「いいえ。高架を渡り大岡山で乗り換えてください。・・・」

と、細かく親切丁寧に教えた。

青年の高架を渡り反対側のホームに立つ姿が見えた。

私はホームに入って来た電車に乗り吊革に手をかけていた。           電車が駅に滑り込み駅のアナウンスが聴こえた。

   「尾山台・・・」

感電したかのようにビグとなるのが分かった。

折角、自由が丘まで来れて振り出しに戻してしまったのかも知れない。      もう少し思考してから教えればよかったのに・・。理解、判断力のなさに情けなくなった。しかも、今の歳でなく15年も若い頃の話だ。

昔からボケとったのだか。   いまなら、まだ同情ができるのに・・・。

終わり