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彦根・塚乞手古墳 スギ製の鳥形と笠形の木製埴輪2点出土

2008年07月26日 | Weblog
 25日滋賀県文化財保護協会は、彦根市肥田町の6世紀前半頃とみられる塚乞手(つかごって)古墳の周濠跡から、鳥形と笠形の木製埴輪2点が出土したことを発表した。
 鳥形の埴輪は、長さ59cm、胴部最大幅20・5cm、頭部最大幅13cmで飛行する鳥の姿を表している。胴部には、支柱を挿す穴があり、胴部の上面には翼を取り付けるための切り込み(幅24cm、深さ1・5cm)があり、飛ぶ鳥をかたどったとみられる。翼は確認されていない。
 笠形は円形で直径27cm、高さ8cm。貴人の傘を模っている。中央に9cmの方形穴がある。
 このほか、支柱とみられる長さ97cmの木材や土製埴輪の破片も出土した。
木製埴輪の樹種は、大半が古墳時代に棺に用いられたコウヤマキだが、出土した2点はスギ製だった。
 木製埴輪が出土した古墳は県内9基目で、計40点となった。湖南で7例、湖北で1例あり、今回は空白部だった湖東での発見で、協会は大和から近江を経て尾張へ伝播したという推論を裏付ける資料と評価する。
 ほかに木製埴輪は、奈良県で21例、京都府3例、大阪府2例、福岡と愛知両県、韓国で各1例が確認されている。
 木製埴輪は8月24日、安土城考古博物館(安土町)で開かれる埋蔵文化財整理調査成果中間報告会で展示、解説もある。

■木製埴輪 5世紀前半に河内(大阪)の大王墓造営に伴い考案された樹立物とされ、大和から近江を経て尾張などへ広まったとみられる。国内では37基の古墳から出土、滋賀県は奈良県の21基に次いで多い。

 同古墳は肥田城遺跡と重なっており、規模や形状は不明。周濠跡は水田で見つかった。
[参考:京都新聞、中日新聞]

肥田城
 高野瀬備中守隆重が大永年間(1521~1528)に築いたとされる平城。
 永禄2年(1559)、六角義賢に水攻めにあうが、洪水で失敗に終わった。
 慶長年間以降廃城となった。
 高野瀬氏は近江源氏佐々木氏の分かれとも藤原秀郷流ともいい、明確ではない。
 建武三年(1336)の『園城寺文書』に高野瀬信景の名が見える。
 平成18年からの試掘調査では、8世紀後半(奈良時代)の建物跡2棟が見つかり、その時代以降の遺構が見つかっている。


キーワード: 笠形木製埴輪、鳥形木製埴輪

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