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京都府宇治市・平等院鳳凰堂 国宝壁画「仏後壁」に描かれた舞楽は延喜楽と判明

2010年03月25日 | Weblog
 平等院(京都府宇治市)は24日、鳳凰堂内本尊阿弥陀如来坐像の背後にある国宝壁画「仏後壁」の調査で、壁画に描かれた舞楽の墨の下絵線が見つかり、この舞楽の演目は平安期に作られた「延喜楽(えんぎらく)」(注1)であることが確認されたと発表した。仏後壁は1053年に藤原頼通(992-1074)が鳳凰堂を建立してから数年後の完成とされ、人が舞楽を踊る様子を描いた絵としては現存最古という。
 調査は独立行政法人「東京文化財研究所」により行われた。仏後壁は平安時代中期(11世紀中ごろ)の作品と推定され、幅約3・7m、高さ約3・4m、計11枚で構成。左から4枚目に、襲装束(かさねしょうぞく)、鳥兜(とりかぶと)などを纏い、舞台で手を広げる舞人や笛と打楽器などの奏者が描かれていた。近赤外線を当てたところ、肉眼では見えなかった墨の下絵線の跡が浮かび上がり、一枚の絵で舞の振り付けが動画のように表現されていた。左右の腕を斜めに大きく広げて舞う姿と原画の緑色の衣装が延喜楽の特徴と一致したという。
 延喜楽は平安期の舞楽家、藤原忠房(?-929)が作曲した舞と伝えられ、慶祝の意味を持つ。現在も宮中行事などで舞われており、約千年にわたり、ほぼ変わらぬ形で受け継がれてきたことが明らかになった。
 平等院では27日午後4時から「極楽浄土の調べ」を開く。鑑賞には拝観料が必要。
[参考:京都新聞、共同通信、産経新聞]

(注1)延喜楽は、朝鮮から日本に伝わった雅楽の一種である高麗楽に属する代表的な作品。
 ㈱OLDSEAから発売されているDVD「生きた正倉院 雅楽」にも延喜楽が収納され、映像で観る事ができる。

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 2009.1.24平等院鳳凰堂・仏後壁 極楽浄土図の全容が明らかに 藤原頼通も描かれる?

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2 コメント

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延喜楽 (すずめ)
2010-03-28 03:54:45
「(注1)延喜楽は、朝鮮から日本に伝わった雅楽の一種、高麗麗楽の代表的な作品。」

現存する日本の雅楽には高麗楽(こまがく)というサブ・カテゴリがあり、時代的には百済や新羅あたりより渡来した舞曲といわれてます。もっと時代が下がる高麗(こうらい)朝は全く関係ないようです。
雅楽の演奏形態のひとつである舞楽では、おおざっぱに言うと、主に唐朝から伝わった音楽とされてる唐楽を左方、先述の高麗楽を右方に分けて、対(つがい)にして演奏します。延喜楽は右方に属しますが、平安時代に日本でつくられた舞楽で、朝鮮半島伝来ではありません。右方には平安時代に日本でつくられた舞曲が他にもいくつか伝承されてます。
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延喜楽 (歴歩)
2010-03-28 12:09:30
延喜楽 (すずめ)様
コメントありがとうございます。大変参考になります。
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