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中国吉林省和龍市・龍頭山古墳群から渤海3代文王と9代簡王の皇后の墓誌が発掘、また金製鳥羽冠が出土

2009年08月26日 | Weblog
 吉林省和龍市龍海村にある渤海時代古墳群遺跡の龍頭山(룽터우산)古墳群(8C後半~9C前半)で、渤海3代文王(문왕、?-793)夫人の孝懿皇后(효의황후)と9代簡王(간왕、?-818)夫人の順穆皇后(순목황후)の墓誌が発掘された。
 これは、去る2004-2005年龍頭山古墳群のうち渤海時代古墳14基を発掘した吉林省文物考古研究所と延辺朝鮮族自治州文物管理委員会弁公室が、中国社会科学院考古研究所が発刊する雑誌「考古」(2009年第6期)を通して,その発掘成果を最近公開した。「吉林和龍市渤海王室墓葬発掘簡報」という報告を通して孝懿皇后と順穆皇后の墓誌が各々大型石室墓のM12とM3号墓から出土したことを明らかにした。墓誌実物写真と正確な碑文内容はまだ検討中という理由から公開されなかった。
 ただし,報告書によれば紅褐色砂岩を材料とした順穆皇后墓誌は幅34.5㎝、高さ55㎝、厚さ13㎝で、墓誌文には縦9行に、計141字が刻まれた。碑文には「渤海国順穆皇后は、簡王の皇后で泰氏(태씨)だ。(渤海國順穆皇后為簡王的皇后泰氏)」等の内容が記録されているという。
 さらに、盗掘に会わなかった夫婦合葬墓(부부합장묘)とみられるM13、M14墓では高句麗の鳥羽冠(조우관. 鳥の羽毛を象った冠)の伝統を受ける金製冠飾が、渤海墓では初めて発見されたと報告書は紹介している。新しい翼をイメージに三本つの植物の葉のように図案化した金製冠飾は高句麗鳥羽冠の伝統が渤海まで継承されたことを示す資料とする。この墓は、一つの土の墓中にレンガで槨を作って,その中には木棺を2個安置して、土の墓上には建物を建てた痕跡も発見された。
 女性が埋められたとみられるM13墓では金製腕輪と簪(カンザシ)などが、M14墓では金製冠飾とともに金で支えのある玉帯なども出土した。
 龍頭山古墳群では、1980年渤海3代文王の四番目娘の貞孝公主 (정효공주、757-792)墓が発掘されている。
[参考:聯合ニュース]

備考:鳥羽冠にまつわる話
 1998年11月にNHK・BS2で放送された「あなたの知らない法隆寺」の録画ビデオを久しぶりに観ていたら、金堂 西の間の阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)の台座の下座(飛鳥時代)に描かれている人物像が発見された時(1992..8)の映像が映っていた。台座の下座の底板(ヒノキ)に、墨による落書きの画で、鳥の羽根を付けた冠を戴く人物が書かれていた。鼻が高く、鳥の羽がついたような冠を被り、高句麗からの使節とみられている。
 乾陵陪葬墓群章懷太子(654-684)墓壁画《客使団》に描かれている朝鮮使節に似ているとしていた。


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