歴歩

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京都市中京区 平安貴族邸の井戸の中から「難波津の歌」全文を記す木簡が出土

2015年11月28日 | Weblog
 京都市埋蔵文化財研究所は26日、中京区壬生朱雀町で、平安貴族邸跡とみられる井戸の中から古今和歌集仮名序で手習いの手本として引用した「難波津の歌」が書かれた9世紀後半の木簡が見つかったと発表した。平仮名の完成期に近い文字で歌をほぼ全部記した初の木簡で、平仮名の成り立ちを考察する重要な史料という。

■出土地は平安京の「朱雀大路」のすぐ近くの井戸の中から見つかった。
■木簡は長さ34.5cm、幅3.5cm、厚さ4ミリで、2行にわたって仮名文字が書かれ、右側に31字以上、左側に20字が記されていた。
右側に、「難波津に咲くやこの花冬ごもり いまは春べと咲くやこの花」の歌がほぼ平仮名で記されていた。「左久也己能波奈」の文字を崩して書いているという。
左側に書き込まれた散文の内容は解読できなかった。歌と散文が一緒に書かれている木簡は例がないという。
■7世紀から史料に登場する難波津の歌は貴族の手習いによく使われ、全国で木簡や土器に難波津の歌が37例確認されている。今回の木簡はサイズや内容から、文字の練習や儀礼などと用途が違ったとみられる。
■京都では中京区の藤原良相(よしみ)邸跡で日本最古級の平仮名墨書土器が見つかっているが、今回の木簡は同じ9世紀後半でも少し時代は新しい。

木簡は27日から12月13日まで市考古資料館(上京区)で展示されている。
[参考:時事通信、京都新聞、毎日新聞]

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