歴歩

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与謝野晶子直筆の未発表を含む短歌103首 倉敷市で発見

2013年01月09日 | Weblog
 先月(12月)24日の日経新聞で『与謝野晶子の未収録歌4首、京都で見つかる』と報道されたばかり。 今度は、与謝野晶子直筆の短歌103首が収められた原稿用紙が岡山県倉敷市で9日までに見つかったと報道された。
 親交が深かった同市出身の詩人、薄田泣菫(すすきだ きゅうきん、1877-1945)に新聞掲載用に送った作品で、うち16首は未発表とみられる。
 1913〜21年の大正期の作とみられる。
<未発表とみられる与謝野晶子の短歌の一部>
・生れたる日をば悲しと何の云ふ一萬日(いちまんじつ)の時の語れる
・砂踏むを燒(や)けむとそしり網小屋の蔭をあゆめり物思ふ人
・わが世をばうちまどふことしきりにも續(つづ)きし頃のおぞましき日記(にき)
・髪よりも静かなるなし夕ぐれの山の色よりみづうみよりも
・街行けば涙ぐまるるおもひでの必ずわきぬまづしきがため
・うばたまの髪煩(わづら)はし身の中の焦がれ心はなほ煩はし
・君がこと浅間の嶽(たけ)のふもとなる落葉松(からまつ)の木が知るよしもなし(注1)
・縁(えん)にいで瓜をくらひて茶すすりぬ貧しき家も夏はよろしも 
・物思ふ萱(かや)の葉などと並ぶ時 今こし方のわれもうらめし
[参考:共同通信、時事通信、日経新聞、毎日新聞、朝日新聞、産経新聞、山陽新聞、NHK]

(注1)与謝野晶子書簡集成第二巻: 逸見久美編(発行2001.7 八木書店) 175 大正10年11月21日 有島武郎宛晶子書簡に
「(略) かの星野に居り候ひしころ
  君がこと浅間が嶽のふもとなるから松の木がしるよしもなし」
が記載されている。 書簡中に星野と記されているのは、現在軽井沢町長倉星野にある星野温泉のことと思われる。
 星野温泉は、大正3年(1913)に開業したのが始まりで、上田から宮大工を呼び神社風の浴場を建て明星館と呼ばれていた。
 大正10年から始まった「芸術自由教育講習会」(夏季セミナー)には、内村鑑三、与謝野晶子、島崎藤村、北原白秋などが集い、当時の文化を牽引する場となった。

与謝野晶子の直筆103首発見=16首は未発表か―岡山(時事通信) - goo ニュース
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