佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

松之木天辺 Mono×Poly Opera Theater NIIGATA

2006年02月21日 23時45分54秒 | 音楽

 

 日曜日、松之木天辺の公演を観る。

 

 松之木天辺は、新潟県(現)新発田市出身。

新潟大学を卒業後、1998年にオペラシアターこんにゃく座へ入座。

数多くのオペラの舞台に立つ。

2004年退座後、本格的にソロ活動を開始。

ジャンルの枠を超えた活動を行っている。

 

 松之木氏とは、大学が同じで、

合唱団関係で繋がりがあった。

こんにゃく座への入座に伴う上京と時を同じく、

僕も東京へ行った関係で、

彼の出るこんにゃく座の芝居は数多く観させて頂いた。

新潟でのソロ公演に際し、若干の情報提供をさせて頂いた関係で、

プログラムに名前を載せて頂いてしまった。。。恐縮です。

ソロの公演を観るのは初。

会場はりゅーとぴあスタジオB。新潟への凱旋公演。

2日目の公演を観る。

 

 「モノポリオペラ」とは、

歌と芝居とダンスが混然一体となった独自の舞台。

 

 まず、シューベルトの「魔王」(松之木天辺訳)。

風を受けながら4役を演じ分け、独特の衣装を着て演じる。

 衣装の効果が非常に高かった。

演じ分けに関しては良かったと思う。

ドイツ歌曲の古典とも言うべき作品。

あともう一歩の歌唱の安定があればなお良いと思う。

 

 転換の後、

「鏡」(作/岸田今日子 曲/松之木天辺)。

 本人の作曲だが、

(分析的ではなく)印象的には、

こんにゃく座の林光や萩京子の作風に

影響を受けている気がした。

 これは、次の作品でも感じたのだが、

松之木氏は、中性的な部分の幅広さを持っている。

これは、多分、持って生まれたものだと思う。

なので男女の演じ分けに関しては、一日の長がある。

彼の演技の幅広さ。

岸田今日子をリスペクトしているだけあって、

観る者を惹きつける集中力ある演技になった。

 

 休憩後、

「シグナルとシグナレス」(作/宮澤賢治 曲/萩京子)。

 不勉強で、ストーリーを追いきれなかった。

しかし、こんにゃく座で数多くの役を経験したものが

演技に生きていると思った。

役の演じ分けと安定感。

男女の交代が非常にスムーズで自然。

 

 全体を通して、

松之木氏のやりたいことは観客に伝わったのでは。

これまで積んできた経験を、余すところなく魅せた舞台だった。

一人で舞台をやり切るということは、想像以上に大変なはず。

しかし、このモノポリオペラの

可能性や方向性は示せたのでは。

これで、より一層表現力を磨けば、

より説得力を増していくと思う。

 

 これからの歩みは大変だとはと思うが、

ずっと注目していきたい。

東京をはじめ、また新潟でも定期的に

公演を打って欲しいと思う。

松之木天辺の更なる飛躍に目が離せない。

 


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