おもしろコラム

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一刀斎夢録

2011-07-28 11:22:31 | 読後通信簿
・和違屋糸里、壬生義士伝に続く浅田新撰組三部作の最終作。
・「考えてもみよ。軍隊を強くするために戦をしてはなるまい。軍隊を強くしたのちに戦はするものだ。そうしなければ、戦に果てはあるまいて。」
・「武道はその究極において芸術の一部であるが、スポーツは身体運動にすぎぬ。あるいは、ひとごろしが唯一の目的である剣士は心の修養までが必須であるが、死ぬはずのないスポーツならば、その必要もあるまい。」
・「そもそも新撰組というのは軍隊ではあるまい。京の治安を守る警察であった。万が一にも天朝様が、不逞浪士に担がれてはならぬゆえ、それまでの所司代に加えてさらに強力な京都守護職という警察が設けられた。合津様はその長官であり、新撰組は会津の御家中ではないが現地雇いの警察隊であった。」
・「会津衆は軍人も警察も、大挙して西郷征伐に向かったが、出陣に際してはきっと御屋敷に伺候してご挨拶をしたものであった。お言葉を賜った『手柄を逸るではないぞ。西郷のそっ首を取ろうなどど思うななよ。恩讐を去り、お国のためと思うて働け。よいな』意外なお諭しであったな。おそらく御殿様は、誰にも同じお言葉をくり返されておられたのであろう。あのひどい戦を経て、もうこの先はひとたりとも家来を死なせたくないというのが、御殿様のご本心であられたのじゃと思う。」

日本の危機に際して、いつも犠牲になってきた福島。こたびの原発事故に際しても福島のみ犠牲にしていていいはづはあるまいて。

・浅田次郎著
・文藝春秋 刊
・2011.01

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