春陽会に属している奥田良悦さんが、ずっと描き続けていらっしゃるというアリの「ド」アップの絵が見たい! という思いを晴らすことは、今回のグループ展では叶いませんでした。奥田さんは今回、アリを封印。抽象画ばかり4点を発表されたのでした。
箔を貼って化学反応による変色を試みた奥田さんの作品からは、勢いや重厚感がずっしり。会場の中でも堂々とした風格を放っていました。眺め続けているとちょっとずつ動き出しそうな、静かな生命力の気配も感じます。色合いには思わずじーっと見つめてしまう味わいが。
その色は、箔の化学反応によって創り出されたものだそうです。狙ったところで色を固定させるため、化学反応がそれ以上進まないように止めさせる薬品の調整は、奥田さんの奥義だとか。さすが元・技術者です。
とはいえ、やっぱり奥田さんが追求してきた従来のアリ作品を見たくてたまりません。でも、この抽象画に感じられる生命力の気配に、ふと思ったのでした。もしかしたら、これは一見抽象画、そのじつ、アリの細胞の「ド」アップ具象画なのではないでしょうか。次回は、細胞レベルまでアップにはしないアリの表情が分かる作品が展示されることを、楽しみにしています。(山本理絵)
(真ん中が奥田良悦さん)
箔を貼って化学反応による変色を試みた奥田さんの作品からは、勢いや重厚感がずっしり。会場の中でも堂々とした風格を放っていました。眺め続けているとちょっとずつ動き出しそうな、静かな生命力の気配も感じます。色合いには思わずじーっと見つめてしまう味わいが。
その色は、箔の化学反応によって創り出されたものだそうです。狙ったところで色を固定させるため、化学反応がそれ以上進まないように止めさせる薬品の調整は、奥田さんの奥義だとか。さすが元・技術者です。
とはいえ、やっぱり奥田さんが追求してきた従来のアリ作品を見たくてたまりません。でも、この抽象画に感じられる生命力の気配に、ふと思ったのでした。もしかしたら、これは一見抽象画、そのじつ、アリの細胞の「ド」アップ具象画なのではないでしょうか。次回は、細胞レベルまでアップにはしないアリの表情が分かる作品が展示されることを、楽しみにしています。(山本理絵)
(真ん中が奥田良悦さん)