鋭い眼差しが残像に焼き付く自画像の主・保多棟人さんがメインテーマとしていたのは「平久保の椎」という大樹。それを描いた作品が何点か展示されていました。どの樹も、風景としての樹、どっしり佇む樹、大自然の力で包み込んでくれる樹、としての対象ではないように感じられます。生き物としての樹、戦い続ける樹、挑みかけてくる樹、といった様相。樹の幹や枝や葉の隅々まで、人間と同じように筋肉や血が通っているよう。まるで筋肉隆々とした人間の裸体。力強い生命力がみなぎっているのです。そんな裸体が無言に訴えかけてくる何かを、保田さんはキャンバスへと映しとり描いたのではないか、という気がしました。音に変換するなら、低く静かな慟哭。耳を塞いではならない言葉たちが轟いてくるようです。(山本理絵)
鋭い眼差しが残像に焼き付く自画像の主・保多棟人さんがメインテーマとしていたのは「平久保の椎」という大樹。それを描いた作品が何点か展示されていました。どの樹も、風景としての樹、どっしり佇む樹、大自然の力で包み込んでくれる樹、としての対象ではないように感じられます。生き物としての樹、戦い続ける樹、挑みかけてくる樹、といった様相。樹の幹や枝や葉の隅々まで、人間と同じように筋肉や血が通っているよう。まるで筋肉隆々とした人間の裸体。力強い生命力がみなぎっているのです。そんな裸体が無言に訴えかけてくる何かを、保田さんはキャンバスへと映しとり描いたのではないか、という気がしました。音に変換するなら、低く静かな慟哭。耳を塞いではならない言葉たちが轟いてくるようです。(山本理絵)