TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

保多棟人遺作展 @文藝春秋画廊

2014年08月30日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
  

 鋭い眼差しが残像に焼き付く自画像の主・保多棟人さんがメインテーマとしていたのは「平久保の椎」という大樹。それを描いた作品が何点か展示されていました。どの樹も、風景としての樹、どっしり佇む樹、大自然の力で包み込んでくれる樹、としての対象ではないように感じられます。生き物としての樹、戦い続ける樹、挑みかけてくる樹、といった様相。樹の幹や枝や葉の隅々まで、人間と同じように筋肉や血が通っているよう。まるで筋肉隆々とした人間の裸体。力強い生命力がみなぎっているのです。そんな裸体が無言に訴えかけてくる何かを、保田さんはキャンバスへと映しとり描いたのではないか、という気がしました。音に変換するなら、低く静かな慟哭。耳を塞いではならない言葉たちが轟いてくるようです。(山本理絵)

植田正治&ロベール・ドアノー作品と遊ぶ・・東京都写真美術館

2014年08月20日 | モダンアート
東京写真美術館

恵比寿ガーデンプレイスにある東京写真美術館が改修工事に入るらしい。そんな噂を耳にして、ビジネスパートナーのRYさんと早速出かけた。そう、二人とも建物の外壁にある写真家の作品が好きなのだ。植田正治とロベール・ドアノーの写真である。
だが、見るだけでは面白くない不良老年、植田作品のオブジェの真似して写真の中に入ろうとする。BPのRさんも真似してドアノーの写真の前に立とうとする。どうかな、うまく溶け込んでるかなあ?だって。・・困ったもんだね、二人とも~。それ名品なんだよ(笑)。
不良老年、オブジェになる
    BPのRさんも真似して

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植田正治は人間をオブジェのように配置する構図の作品など、前衛的な演出写真で知られている。特に砂丘シリーズで有名である
   

ロベール・ドアノーはフランスの写真家、「パリ市庁舎前のキス」で有名である。


笹木繁男氏と暫し歓談、浜田浄作品集のことなど語り合う

2014年08月12日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
ギャラリー枝香庵で笹木繁男氏とバッタリお会いし、暫しの時間喋り込んだ。笹木さんは我々コレクターの草分け的存在であるが、現代美術資料センターを主宰するなど美術の世界の有名人、私もかつて月刊ギャラリーのインタビュー企画で取材させていただいたことがある。
近年は執筆活動に取り組んでおり、何年か前には「ドキュメント、時代と刺し違えた画家中村正義の生涯」を刊行したが、展覧会評の全文や作品をドキュメントの形式で収録するなど当時の美術状況を俯瞰できる貴重な書籍として評価されている。
 笹木繁男氏

またごく最近、現代美術の浜田浄作品集を刊行したが、これは枝香庵代表荒井よし枝氏との連携により実現したもので、近々出版記念会も企画されているとのこと。
 枝香庵代表荒井よし枝さん

この日、私とビジネスサポーターのRYさんは、これら刊行物出版に伴うご苦労や思いを聞かせていただいたが、作家浜田浄の作品及び作品制作の技法や作家のことを縦だけでなく横に広がりをもたせて調べる笹木さんの執筆手法について伺い、有意義で楽しいひとときであった。
 枝香庵屋上




枝香庵SummerFesta・・小品だが、作家の思いが伝わるいい展覧会だ

2014年08月11日 | 気になる展覧会探訪
銀座の枝香庵のサマーフェスタ展を覘いて来た。小品の展示ではあるが、作家が本気で、時には遊び心を持って制作した作品たちが並ぶ。平澤重信のいつもと違う画風の作品や横田尚の心を込めた金魚、その他佐藤温、オーガフミヒロ、コペンナナなどいい作品がたくさんあったが、特に心に残ったのは、野澤義宣の二点だ。一点は人物、これもいいが、もう一点の「青天」がいい。
画像が悪いが作品「青雲」

「青雲」は男が二人、深山の大きな空の下の岩の上で酒酌み交わしている絵だ。多分、画題は寒山拾得であろう。となると、描かれているのは貧しき僧侶か。酒酌み交わしながら堕落した世を笑っているのであろうか。かんらかんらと語り合う声が聞こえてきそうだ。
タイトルの「青雲」もいい。空は晴れあがっていないのに・・。二人とも青雲の志を捨てていないのだ。作家の思いが伝わって来る。


 横田尚作品