TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

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マコトフジムラ対話集会『アートには今、何ができるか』

2011年04月20日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 4月19日、新宿の佐藤美術館で、米国在住のアーティスト、マコトフジムラ氏のトークイベントが開催された。マコトフジムラはもともと日系の米国人であるが、日本画の勉強のために東京芸大に留学、その後アメリカに戻り、アーティストとして活躍してきた。特に、9・11事件に際しては、ワールドトレードセンター近くに居住していたということもあり、芸術を通して何か救済できないかと、NYの芸術家たちに働きかけ、地域コミュニティー活動を続けてきた。そして、今回、3・11の東北大地震の見舞いを兼ねて来日、本日の対話集会を開催したという訳である。
 「アートには今何ができるか」・・マコトフジムラは云う。東北巨大地震を感性でとらえたいと思い、仙台の震災現場を訪ねて来た。しかし、9・11事件の時も感じたことだが、何もできない私たち、感性で何をとらえたかというと、無力であるということ。しかし、創造は無力であることからスタートする。T・Sエリオットも、その詩の中で、「崩壊された中から何かが生まれる」と言っているが、矛盾がある、無力である自分だからこそピュアなものに戻れる。ものを作るということは愛に繋がっている、新しいものを作るということは生きることに繋がっているのだと思う。芸術家は長いサイクルでものを作る。だから何かができるはずである」と語っていた。
 そして最後に、Genecrative なるメッセージを我々に送ってくれた。この英語の正しい日本語は不明だが、マコト氏は新しいものを作ることの意味を熱く語った。限界を感じた時、だからこそ、何かができるのではないか、と。 しみじみとしたいいイベントであった。(山下)


熱く語るマコトフジムラ氏