TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

作家呉亜沙さんとの甲府及び安曇野の画廊訪問

2005年09月30日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 9月の終わり頃、若手作家呉亜沙さんと甲府及び安曇野へ出かけた。 呉亜沙さんはこの10月、文化庁の奨学生としてニューヨークへ出かけることになっているが、その前に安曇野で画廊開設したコレクターでもある米澤章雄を訪ねたいとのこと。早速意気投合、アートNPO会員と3人で特急あずさに乗った。

 まず、呉亜沙展開催中の甲府のアサヒギャラリーを訪ねる。スペースも広く品のいい画廊だ。李朝のものと思われる工芸品がさりげなく置かれたり、画廊主のセンスを感じさせる。望月ご夫妻ともご挨拶。

作品は少し優しく洗練されてきた感じだが、呉亜沙作品の良さはキチンと残っている。小品を一点頂く。

 あらためて甲府から特急あずさに乗り、安曇野をめざす。他の文章でも紹介したが、ミズテツオなどの他呉亜沙作品のコレクターでもある米澤章雄・典子ご夫妻が開設した『ギャラリー留歩』だ。開廊記念の「再現椿会」展をゆっくり鑑賞させていただいた。

 帰り道、松本の信州蕎麦屋で食べた馬刺しと天ざる蕎麦は実に旨かった。呉亜沙さんのニューヨークでの成功を祈って冷えたビールで乾杯。楽しい旅であった。(山下透)


横浜美術館の李禹煥(リ・ウファン)余白の芸術展

2005年09月20日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 9月17日(土)より横浜美術館で李禹煥の《余白の芸術》展が開催されている。親しくしている韓国ソウルの珍画廊柳珍さんから初日のオープニングレセプションの招待状が届いたので出かけることとした。

 展覧会は90年代以降の絵画・彫刻36点で、日本では12年ぶりの大規模な個展である。90年代以降の新作・近作で構成される大きな個展も始めての試みとのことである。制作するということにおいては最小限でありながら、最大限の交感をもたらそうとする李禹煥の余白の芸術は、まさにこの時期の作品に凝縮されていると言っていいであろう。そういう意味で、滅多に見られない意味のある展覧会である。

 会場には現代美術にかかわる美術関係者が大勢姿を見せていたが、知人も多く、楽しいひとときを持つことができた。しかし、それらの招待客をおやっと思わせたのは、ワインもお茶もなし、お土産の図録もない無粋の美術館対応である。案の定、さすがの李さんも挨拶のなかでチクリと一言。経費節減もわかるが、たかだかワイン一杯にいくらかかると言うのであおうか。コスト合理化の方針が出るや右へ習えのサラリーマン根性が見えて情けない。公立美術館の限界を感じさせる事件であった。(山下透)

辰野登恵子氏&柳珍氏と李作品前で