TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

木村繁之展・・ギャラリー椿

2017年06月30日 | 気になる展覧会探訪

我がアート遍歴の初期のほぼ10年はアメリカ現代美術を中心としたミュージアムピース探索であった。フランク・ステラやマックス・ノイマン、ジャン・シャルル・ブレ、ハワード・ホジキンなどを購入することもあったが、銀座の画廊を出入りすることはなかった。初めて覗いた画廊がギャラリー椿で、ちょうど木村繁之展をやっていた。木版画やテラコッタを得意とするやさしい画風の作家だ。



先日、ビジネスパートナーのSさんとギャラリー椿の木村繁之展に出かけた。
星空の木版画などどれも深みのある作品であったが、木彫の作品に魅かれた。冬枯れの木立の中で男が一人思索しているような構図だ。木彫だが、人物のまわりには白い磁器を削って溶いた絵の具が塗ってある。木の肌触りと石の触感が混じり合っていい雰囲気の作品である。


右側のお二人・・作家木村繁之氏とギャラリーオーナー椿原氏


       中央:作家の木村繁之氏 ・・・・ 右端:我がビジネスパートナーのSさん


僕の好きなこの一点・・アルベルト・ジャコメッティの人物彫刻

2017年06月13日 | モダンアート

ニューヨークを旅すると、必ずMOMA(ニューヨーク近代美術館)でひとときを過ごす。ここには近現代の貴重な作品がたくさんあるが、私の足はジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、マーク・ロスコ、ジャコメッティなどの作品の前で立ち止まってしまう。とりわけジャコメッティの人物彫刻が好きである。

ジャコメッティは独特な世界を確立した現代彫刻家である。 針金のように細い人間像は一見現代の不安感を漂わせているかのように見える。何と力強い表現であろうか。どの作品もリアリティーをもって見るものに迫る。ジャコメッティはある時、遠ざかる人間の後ろ姿を見ていて、小さくなっても変わらない人間の本質に気がついたのだという。そして、目に映るものを見える儘に表現することを追求しつづけ、削りに削っても残る人間像の世界にたどり着いたのである。

ジャコメッティの影響を受けた現代作家は多い。実存主義作家サルトルもその一人で、人間の本質に迫る世界を高く評価した。その名前と作品は20世紀美術史に燦然と輝き続けるであろう。