TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

親しい仲間たちとの画廊廻りなどのアート探索

2005年10月25日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 10月22日、親しい仲間と画廊廻り。

この日はまず、日本橋三越の「再興院展90年の歩み展」の作家たち展」で横山大観の六曲一双の「秋色」など鑑賞。その後ギャラリー繭、ギャラリー椿、ギャラリー白水、ギャラリーごらくの「ミズテツオ展」などを廻り、最後に原田俊一氏のアートフロンティアオープニング展をのぞく。

 京橋のギャラリー繭は中国や東南アジアの民族衣装も扱う楽しい画廊。女性オーナーの梅田さんとは古陶磁研究家等と共に返還直前の香港に出かけ、骨董街を4日も探索した友人である。この日は嬉しいことに、その香港に一緒に旅をした中国青磁の本格的収集家小島さんとも偶然に会うことができた。・・皆で写真をパチリ。



 この後、ギャラリー椿の「北川健二鏡面の詩学展」、ギャラリー白水の「平田達哉展」、ギャラリーごらくの「ミズテツオ展」を見て、そして国画会の画家藤岡泠子さんの作品を鑑賞。

この日の最後は原田俊一氏の画廊アートフロンティアを訪問し開設記念展を鑑賞、そのあと、皆で新川のイタリアンレストランでワインの乾杯。(山下透)




冬の海に吹く南の風の気配を描く国画会の藤岡冷子さん

2005年10月20日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 藤岡冷子さんとは2003年10月、韓国ソウルのリ・ウーファン回顧展の旅にご一緒して以来のお付き合いだ。ソウル市内を一緒に散策したが、その時作家であることを知った。帰国後、紀伊国屋ホールでの個展『南の風が吹く頃』を拝見させていただいた次第である。  

 作品の主題は風に揺れてさざなみ立つ海の表情だ。ブルーを基調にグリーン、グレーが混じりあった色彩は繊細かつ透明感に溢れている。海といっても明るい南の海ではなく、凍てつくかのように澄み切った北の冬の海だ。キャンバスには人物は勿論、島影も小船もなく、一見単調な風景に見える。

 しかし、作家が描こうとしているのは海そのものではない。描かれているのは凍てつくような厳冬の海だが、海面を吹く風は緩んで、ゆっくりと冬の季節を終わろうとしている。つまり、作家が描いているのは春のきざし、風の気配に託した夢と希望なのではなかろうか。日常の中にありながらも、夢と希望を失わずに生きようとする藤岡さんの心の風景に違いない。そんな気持ちで見直すと、作品が静かに心に迫ってくる。

 藤岡さんは国画会会員だが、ご主人は物理学の学者であるとのこと。家庭的な雰囲気の静かな女性だ。芸大院卒の若い頃、仏政府給費留学生として数年パリに滞在。その後20年近い空白期間があったにも拘わらず、ここまで独自の世界を持っている作家だ。是非、いい作品を作り続けていただきたい。(山下透)

藤岡作品