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ラファエロ展、優しさと憂いが滲む「大公の聖母」

2013年05月17日 | モダンアート
聖母子の画家とも呼ばれるラファエロの作品が来日した。ラファエロ・サンティと言えば、レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロと並ぶイタリア・ルネッサンスの巨匠の一人だ。


 今回の目玉作品『大公の聖母』はラファエロの代表作の一つであり、史上最高の聖母とも言われる最高傑作だ。聖母マリアの視線は下に向けられ、我が子イエスの運命を悟ってか、悲しげに見える。構図も、輪郭を描かない技法のためか、全体に優しく柔らかいイメージである。しかも背景が黒一色であることも手伝って、造形や色彩の美しさが際立っている。


その他素晴らしい作品が何点も来ている。特に『友人のいる画像』が印象に残った。自画像と肖像画が一緒に描かれた変わった人物画で、後方から友人の左肩に手を置いた人物がラファエロである。



 ラファエロは1483年、イタリア中部のウルビーノで生れ、その卓越した才能は皇帝や貴族に愛され、ヴァチカンの壁画『アテネの学堂』の制作にも携わる。この作品、是非見てみたいものだ。